五兵エ旅館
東北(山形県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
大蔵 肘折温泉
≪2011年03月宿泊≫(1泊)
湯治2食付1泊を受け入れてくれる宿として、2食付き湯治本体価格@5000+消費税¥250+入湯税¥150+暖房料¥700ということで1泊お世話になりました。
宿にはいってすぐ右手にお宿のおとっつあん・おっかさんが暮らしている部屋がありますので、遠慮なく声を掛けてチェックインします。部屋数もほんの片手前後でおとっつあんとおかっつあんが無理なくおもてなしできる規模のお宿です。
今日の宿泊は自分ひとりだそうです。静かでいいです。
部屋は2階階段上がってすぐの「つつじ」、たたみ6畳+踏み込み約1畳+床の間1.5畳です。
五叉路が見えるこじんまりした居心地よい部屋で、湯治には過不足ありません。
室内設備は和テーブル、座布団・座椅子、お茶セット&湯沸しポット、小さな鏡、6チャンネル映る14インチくらいのアナログテレビ、セントラルファンヒータ、タオル掛けです。部屋に鍵もちゃんとあり、肘折で初めてみる貴重品金庫もあるお宿です。
窓に障子はありますがカーテンはありません。
ちょっと困ったのは服掛けがなかったことです。廊下に下がっていたハンガーを持ち込み適当に梁に掛けましたが。
コンセントはセントラルファンヒータ横に1口、床の間TV後ろに2口×1、窓側壁に2口×1、もう一面の壁にも2口×1、踏み込みにも2口×1といっぱいあります。
アメニティはティッシュ、お着き菓子(ほていまんじゅう×2)、五兵エ旅館タオル×1でした。
実は浴衣と半纏、歯ブラシもご用意いただいていたのですがどうせ使わないのでご遠慮して、五兵エ旅館の染めが入ったタオルはサービスだとのことで記念に有難くいただきました。
お茶葉はやたらたっぷりご用意いただいています。
お風呂は浴槽1.5m×2.5mくらいで給湯量はあまり多くはありませんが、入浴人数が多くないのでいいお湯でした。湯温40℃ほどの長湯できるいい塩梅です。
夕食は他旅館同様に5時過ぎに部屋まで持ってきていただくハズでしたが、今日はほかにお客さんがいないということで、隣の客室(こぶし、8畳)にご用意いただきました。宿が混んでいるときは自室食になるようです。
はっきりいって「湯治食の価格破壊」です。正1合には足りませんけどお銚子までついていて、デザートは八朔(?)丸一個です。いわゆる旅館ふうの食事ではなくて家庭料理ですが、驚愕の充実ぶりです
湯治食であまりの多さにビビったのは秋の宮温泉の新五郎湯以来で、そうそうあることじゃありません。ついでの話、旅館宿泊で食事の多さにビビったのは秋田の貝の沢温泉です。あくまでも値段の割りに、ですけど。
カレイの一夜干し焼きには好物の生姜甘酢漬けが山盛りついていて、これだけで1合呑めてしまいそうです。野菜類の煮物も上手に煮漬かっていて、和食のおいしさをしみじみと味わえます。
個人的には紫蘇付けのラッキョウか烏賊の魚卵和えを無くしてでも(普通のコスト見直しはまずお銚子からなのでしょうが)炊き具合がイマイチなご飯をランクアップしたほうがよいと思いましたが、いずれにしても恐るべき充実度の湯治夕食でした。
たいてい、平均的な肘折の湯治夕食の分量だと普通18時までには片付きますが、不覚にも19時頃まで手こずってしまいました。
実はネットでリサーチして、こちらの食事は相当高得点が期待できるので宿泊したのですが、これほどとはちょっと侮っていました。
ちょっとしたオカズなど隠し持って望みましたが、手がつかないどころか結局、不覚にも八朔はギブアップしてしまいました。
肘折の湯治食で満腹限度を超えたのは初めてで、当日の昼ごはん(安くて美味しいとんかつランチ@東根駅前)でご飯のお代わりをしたのを後悔してしまいました。
別部屋で夕食をいただいている間に布団まで敷いていただきました。
羊毛敷布団(?)1+木綿敷布団1+毛布1+掛け布団1です。当然勝手に、フカフカお殿様布団にグレードアップしましたが。毛布に洗濯したてとおぼしきカバーがかかって、清潔に眠る心遣いもまことに結構です。満腹すぎて少々寝苦しかったですがね。
洗面所兼共同調理場には自由に使えるコンロはありますがなべ類・食器類はありませんのでその心積もりは必要です。
もっとも、あれだけの食事が出てこれ以上自分で料理するのは自滅行為かもしれません。
蛇口3口のうち1口、お湯が出るものがあって厳冬期は助かります。
シャワートイレはしばらく使っていなかったからなのか、暖かくなるまでしばらくかかりましたけど。
おとっつあん、おっかさんはいずれも地元方言バリバリで、おっしゃってることの半分以上は理解できません。なんとか理解できたことは、
「河原湯・疝気湯は基本地元のヒトのお風呂なのでキーカード貸し出しはあまり宜しくないが上の湯のサービス券があるので入ってくると宜しい」
「今年は肘折にしては雪は少ない」
「お風呂はおとっつあんのお手製である」
「おとっつあんは昔いでゆ館が建っている場所で農業をやっていて、ほかに建設業関係の仕事もやっていた」
「根強いリピーターがいて夏場などは結構宿も込み合う」
「泊まっていただいたお客さんにいろいろ教えてもらって満足いただけるよう努力している」
などでした。
あれだけの食事を供してなおも満足してもらえるよう努力しているのであれば、そりゃお客さんはまた泊まりにきたくなるでしょう。
朝食はやはり部屋で8時ころからとお聞きしていたので、朝風呂を7:30に出たらすでに部屋前においてありました。
朝食もすごい量で、当宿の食事については「凄まじい」という表現を用いても異論はないでしょう。
五兵エ旅館旅館に3~4泊もしたら体重増加間違いありません。
普段どちらかいうとよく食べるほうだと言われるのですが、不覚にも朝食完食はムリでした。
チェックアウトするときに聞いたら、長逗留する湯治のばっちゃ達はごはんを残しておにぎりにして(ラーメンとかの出前など取らずに)昼食にするのだとか。
そうだろう、年寄りがあんなにたくさん食べちゃ病気になります。
ちなみに夜も朝も付属していた八朔みかんは、個人的推測ではお宿の仏壇のお供え物のお下がりではないかと思います。仏壇に果物が山盛りになっていたので、たぶんメガ盛りは当家の伝統なのでしょうね。
ここまででも十分凄いのに、宿をチェックアウトする際にとどめを刺す想定外がありました。
当初宿泊を予約したときは2食付き@5000+消費税¥250+入湯税¥150+暖房量¥700の合計¥6100とお聞きしていたのですが、精算額はなんと¥5925だとのこと。
どうやら浴衣や歯ブラシをご遠慮したからその分値引き、ということだと思うのですが、なんとまぁ暖房料が必要な冬季の2食付き湯治宿泊では@6000を切る肘折レコードを樹立です。
もはや恐れ入りました、としか言いようがない五兵エ旅館さんでした。