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駒の湯
東北(宮城県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき番外編
栗原 駒の湯温泉

≪2016年07月立ち寄り≫(0泊)

※個人的な応援のつもりで更新順番を繰り上げてアップしています※

泊りに出る余裕はないけどひと汗流したいのでちょいと日帰り湯にでも行くかなという気分になり、季節がら夏向きの湯の情報収集をしていて強烈にアンテナに引っかかったのがこちら駒の湯温泉でした。
栗駒山腹の開湯400年の歴史を持つ当温泉は知る人ぞ知る、2008年の岩手・宮城内陸地震の際に旅館建物も源泉もあらゆるものが土石流に飲み込まれ、7人もの犠牲を出して長らく休業のやむなくに至っていた湯です。

駒の湯の場所はこちら(新規ウィンドウ)

まだお宿があった頃に1~2回日帰り入浴したことがあって、宮城県屈指の湯のひとつと断じて良いほど素晴らしい浴感だったのは忘れられない思い出になっていました。
ほんのり上品で優しいけど芯のある硫黄臭の香る透明湯が、当時2m×3mくらいの木造りの浴槽に毎分100~150リットルほども投入され、踏ん張りの効かない高齢者や子供だと湯船の中で流されるんじゃないかと思えるほど贅沢じゃぶじゃぶな掛け流し湯だったのです。
湯量が多いからどんだけ入浴者が多くても湯が鈍ったりなんかしないエブリタイム鮮度最高のお湯で、しかも浴槽内温度は39~40℃ほどと温湯なので心からのんびりゆっくりくつろいで長湯できる極上な湯でした。
自分の湯治予算の側面から主義に合わないので宿泊したことはないのですけどね(笑)。

不幸な事故の後もずっと気になっていて、跡地から湯が湧きでたらしいと聞けば少し本気でスコップ担いでブルーシート抱えて野天湯船を掘りに行こうかと思ったり、なにしろずっと再開を念じていたのです。
2012年夏には足湯として再開したという情報はキャッチしていたのですが、全身あの湯に漬かれないのではむしろ残念感が勝ってしまいそうで訪問できずにいました。

お宿としてはまだしばらく再建は難しそうながら、筆舌に尽くしがたいご苦労をされて日帰り湯として営業再開にこぎつけたのが実は昨年2015年10月、今年も4月末から水曜定休で日帰り入浴営業をしていると知ったらもう矢も楯もたまらなくなってしまったのがほんの数日前の事です。

営業時間は朝10時から17時まで、当然一番風呂狙い&貸し切り状態狙いで平日10時入湯目指して法定速度で家を飛び出したのです。

当日娑婆は晴れ、この時期としては24~25℃くらいのマイルドな気温で、現地はたぶん2~3℃は気温が低いだろうから温湯長風呂にはもってこいのコンディションです。
県道42号線のいわゆる駒の湯十文字の交差点を右折し、くりこま荘を過ぎたあたり駒の湯の看板が出てきて期待感はいやがうえにも高まる中、さらに進んでかつての駒の湯からたぶん150mほど北西の山寄りに見える建物群が再開した駒の湯でした。
宮城 駒の湯 案内看板
宮城 駒の湯

2016年7月下旬の訪問時点で足湯小屋、受付小屋、有料休憩小屋、男女別湯屋、建設中の食堂兼有料休憩所が新駒の湯の全貌でした。
宮城 駒の湯 足湯
宮城 駒の湯 受付・休憩所
宮城 駒の湯 湯小屋
宮城 駒の湯 食堂

足湯小屋は訪問当日は湯の出が悪いとかで稼働しておらず、蕎麦を供する予定だという食堂兼有料休憩所が2週間後くらいにはオープン予定で、今の有料休憩小屋は新休憩所の供用開始に併せて利用を終了する予定だということでした。
入浴料は大人@400、子供@200、有料休憩は2時間500円で缶入り飲料やタオルの販売もしているようでした。
宮城 駒の湯 営業案内

到着目標時間からは少し遅れたものの10時過ぎには到着したのですが、女将さんがすこぶるお話好きなようで若干のロスタイムがあり、駒の湯源泉との再会を果たしたのは10時半くらいになりました。

脱衣所はこじんまり3畳ほどで脱衣籠は8個ほど、飲料水のサーバーが設置されています。
宮城 駒の湯 男性脱衣所

源泉は駒の湯4号・5号混合泉(含硫黄-カルシウム-硫酸塩泉)、平成27年9月の使用位置での泉温37.5℃という分析表が掲示されています。

浴室には源泉蛇口と水蛇口が各2基あってそれで洗髪などできなくはありませんが、石鹸やシャンプーなどアメニティはありません。
宮城 駒の湯 洗い場

どうでも必要であれば各自持参するわけですが、でも基本的にはこちらは湯にのんびり浸かるためだけの施設であると認識するのが良いでしょう。

浴槽は往時を彷彿とさせる木造で1mちょっと×2.5mほどのややこじんまりしたもので、正直大人4人入ると窮屈になるサイズです。
給湯は目測で毎分40~50リットル、以前ほどではないもののひとまわり小さい今の浴槽には十分すぎるほどの湯量で、湯は透明でわずかに綿ぼこりのような湯の花が舞っていて、今回は残念ながら硫黄臭はほとんど感じられませんでしたが体感37℃ほどの気持安らぐ長湯系の温湯です。
宮城 駒の湯 浴槽

湯口から注がれる湯音のホワイトノイズもあいまって、生ぬるい湯はとてものんびりできます。
湯が温いという苦情もたまにあるそうですが、このくらいの温度の湯に30分~1時間ほど入ると芯まで温まっていつまでもホカホカするし、昔から温湯の長風呂は心を穏やかにするとされていて、そういう湯を楽しむのがここでの過ごし方、醍醐味なのです。
宮城 駒の湯 浴槽

目論見通り当初は独泉でしたが当日はたまたまなのか思ったより入浴客が多く、自分が入っている間に2組5人のお客さんが入れ替わり入浴していました。
いつまででも入っていられそうだったものの気絶しそうなほど激しい空腹にさいなまれて今回は40分ほどで撤退のやむなきに至りましたが、やはり期待を裏切らないじゃぶじゃぶ贅沢な湯遣い、今期営業は降雪次第だろうけどおそらく11月中旬くらいまでと思われ、年内にあと3~4回は来るぞと固く心に誓って後ろ髪引かれながら山を降りたのでした。

なお風呂を上がると女将さんから入湯証明書をいただけます。個人的にはこれはどっちでも良いんですけど(笑)
宮城 駒の湯 入浴証明書

風呂が混むのは個人的には嬉しくないのですが、再開した事がまだあまり広く知られていないようで客数が多くなくて経営面でご苦労されていそうな印象を抱いて、でも400年続く湯を引き続き守っていただきたいし、是非宿泊施設も再建していただきたいし、そのために多くの方に駒の湯に入浴しに行っていただきたいと思ったので、今後こちらに関しては日帰りだけど微力ながら当ホームページで紹介していきたいと思っています。

こちらの湯はとてもご苦労されて再開されたようなのですが、多くのファンがボランティアや多くの寄付をしてようやくここまで漕ぎつけたようです。
自分にはそこまでの甲斐性はないので、せめてときどきお邪魔して多くの関係者さんの努力の賜物を享受してそれに感謝すること、それをこのホームページで発信することくらいしかできないのですが、今回訪問して、それっぽっちでもいいから駒の湯の役に立ちたいと思ったのでした。

東北には経営不振で長い歴史の幕を引く湯治宿が後を絶たないのですが、駒の湯は湯も宿も灰燼に帰すようなご不幸に見舞われその後も艱難辛苦に立ち向かいながら湯を後世に遺そうとされていて、温泉ファンとしてその想いに心から声援を送りたいと思います。

公式ホームページ
【 駒の湯の公式ホームページはこちら 】(新規ウィンドウ)
に営業案内があるほか、
公式ブログ
【 駒の湯の公式ブログはこちら 】(新規ウィンドウ)
で臨時の営業情報や再建作業の様子などを知ることができます。

宮城県北屈指の温湯の再建を見守って応援していきたいと思います、皆さん是非入浴しに行ってください。

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