ITコーディネータ システムアナリスト 西川雅樹のホームページ


冨手旅館
東北(岩手県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
花巻 台温泉

≪2018年02月宿泊≫(1泊)

冨手旅館は閉館したそうです。心から残念です。

かなり前から、花巻台温泉にもう一軒、自分向きかもしれない宿があるらしきことは把握していたのです。
しばし臥薪嘗胆の日々を経てそこに行く気になったと思ってください(というか目はショボショボ腕はゴキゴキ状態に陥り現実逃避願望が閾値を越えたのです)、あくまでも自分のコンディションをチューンアップするためのセルフマネジメントの一環なのです。

決行を決断したのは前日朝、予約電話を入れたらご主人らしきヒトが出て自炊設備ありで素泊まりと同価格で¥3500だそうです。
長期になると少し安くなるんでしょうか、こちらを訪問する以外にも花巻にはやりたいことが少々あったので即予約しました。

が、訪問して清算したら本体¥3500に加えて入湯税¥150、消費税¥280、光熱費¥500で〆て¥4430となんだか結構な出費になってしまいましたw。
光熱費なんて費目の請求をされるのは生まれて初めてで、まぁ冬期暖房料のことかなとも思ったのですが、夏季にその分安くなるという確信はありません。

岩手 台温泉入り口看板

花巻~台温泉は土地勘があるので難なく到着し、目的地は数回お邪魔したことがあるかねがや旅館さんの道向い、ガレージっぽくなっている宿建物1階がどう見ても駐車スペースなのでそこに車を押し込んでチェックインです。
岩手 冨手旅館

いつもチェックインタイムの1時間くらい前に奇襲をかけるのを旨としていますが、今回は昼いちのチェックインOKという予約時のやり取りだったにもかかわらず、結局13時半くらいの着になりました、イロイロやることがあったので。
岩手 冨手旅館 玄関

出てきた女将はこの時間帯に到着するという情報提供を受けていなかったようで、少々トンチンカンな対応だけどまぁどうせ自炊だしそのくらいはノープロブレムです。
岩手 冨手旅館 玄関看板
岩手 冨手旅館 玄関

ご案内いただいたのは2階、宿玄関を入って左手にある階段をあがり、さらに数段階段を上がって宿右裏手に回り込んだ2階です。
岩手 冨手旅館 階段
岩手 冨手旅館 二階廊下

客室はどうもこの一角にある6~7室ほどだけで、今日の宿泊は自分ひとりだけだそうで13号室にご案内いただきました。
岩手 冨手旅館 13号室
岩手 冨手旅館 13号室

宿前の県道に面した東向きの部屋で、窓を開けると台温泉温泉神社が目の前に見える部屋です。
岩手 冨手旅館 13号室
岩手 冨手旅館 13号室内
岩手 冨手旅館 13号室内

外鍵なし・内鍵あり、踏み込み0.5畳、仕切りのカーテンを開くと客室部6畳+出窓30cmほどの古びた部屋で、室内設備は6チャンネル映る26インチくらいの無料テレビ、セントラルヒータ、和卓、鏡台といったシンプル設備です。
お茶セットはおかみさんが持っていきますからというのを、どうせ使わないからと遠慮しました。

押し入れには木綿敷き布団・マットレス・木綿かけ布団・毛布が2セット入っていました。
シーツと枕カバーが見当たらなかったのでおかみさんにリクエストしたら、浴衣と丹前も一緒にお持ちいただけたのですが、浴衣丹前は使わないのでこれもお返しし、ほかにはアメニティは一切ありません。

コンセントはテレビ側の壁に2口×1だけで、携帯、スマホ、デジカメなどなどアイテムが多いとちょっとコンセント不足になる懸念があります。
自分は布団乾燥機や加湿器もよく持参しますが、当然三又ソケットやOAタップも常時携帯するのでノープロブレムですけど。

窓はシングルガラスで障子が入っているだけで冬季は保温保湿面に懸念がありますが、予想通り加湿器をつけて寝たら早朝には結露した水分が大量に窓表面に凍結していました。
加湿器を使っていないと喉がやられるのは確実です。

温泉神社前に常夜街灯が立っていて部屋の中は結構終夜明るかったです。
岩手 冨手旅館 窓の外

風呂は玄関はいってすぐ右手、引き戸を開けてすぐの脱衣スペースを数段下がると踊り場があり、さらに右に数段下がって半地下に貸し切り的な唯一の浴室があります。
岩手 冨手旅館 玄関内
岩手 冨手旅館 脱衣所
岩手 冨手旅館 浴室入り口

浴槽は2つ、向かって右は2m強×1m弱の浴槽で、1mくらいの深さなんだけど中に段があってそこに座るとちょうど首までつかるいい入浴深度になります。
岩手 冨手旅館 浴室内
岩手 冨手旅館 右浴槽

石積みモニュメントの下の浴槽側面水面下から給湯されていて給湯量は毎分数リットル、茶色い湯の花(または湯垢?)が浮遊する当日44℃くらいの湯です。

左側は黒御影石みたいな1m強×1m弱の浴槽で、シブいつくりなんだけど47℃はあろうかという劇熱湯です。
岩手 冨手旅館 左浴槽

こちらもやはり水面下給湯、手すりの下あたりからの給湯でやはり毎分数リットルくらいの感じです。

浴室入ってすぐ左のかどに少し泡立ちがみられる自噴源泉槽に見える湯溜まりがあって、このなかの湯が結構鮮度がよさげででも強烈に熱くて、気にはなるけど手も入れられない状態なのです。
岩手 冨手旅館 源泉槽?

さすがに湯桶に汲んでしばらく冷ましてから頭からかぶって味見しましたけど、幽かに臭素臭を感じたのは気のせいだったのか、かなり良い泉質と感じました。
どうもこれが台温泉発祥の鶴の湯ではないかと思えるのですが、もう少し大切に扱ったほうがいいのにという気もしなくもありません。
岩手 冨手旅館 温泉のいわれ

ちなみに浴槽に加水するための蛇口はいちおうあり、温泉そのままの蛇口もありますが普通の湯が出るようなシャワー・蛇口はありません。
シャンプーリンス石鹸などはありましたが、自家消費用に見えました。

チェックインしてちょっとしてから1時間半、夕食を仕込んでからまた一時間ほど、むろん熱いので給水しながらですが久しぶりの温泉を満喫したのでした。
分析表によれば硫黄泉らしいのですが、無色透明で硫黄臭は上品おとなしめな湯です。

もっとも1日目夕方に入浴しようとしたときは日帰り湯のお客さんが入っていて、出るまでお待ちする羽目になりました。
宿泊が混んでいる日なぞはおちおち入浴していられないかもしれなくて、ちょっと使い勝手が悪そうです。

自炊の調理は湯治客用の炊事場があるのかと思っていたら、どうやら宿の調理場兼自宅の台所で自炊します。
岩手 冨手旅館 台所

無料のガステーブル、給湯機付き流し、各種調理器具や鍋釜薬缶、食器類、冷蔵庫に電子レンジに食器洗い洗剤、当然使わなかったけど調味料も食材もあって、若干雑然としていますが設備自体は十分です。
岩手 冨手旅館 台所

女将さんたちの夕ご飯やおやつまでこと詳細に把握できる、生活感あふれる厨房だったりします。
岩手 冨手旅館 台所

ちなみに宿泊客用の洗濯機は見当たりませんでした。

さて今回の食事は、花巻にきて夜来香の餃子を食べないわけにはいかないということで昼に3人前を調達し、これをメイン料理としてあとは簡単に野菜を炒め、電子レンジ加熱の厚揚げ、途中のスーパーで見つけた刺身の切れ端の盛り合わせにしました。
岩手 冨手旅館 夜来香の餃子
岩手 冨手旅館 夕食

湯治にしてはなかなかな豪華版です。
夜来香餃子は焼きたてをレジ袋に入れたままにしていると蒸れて食感が悪くなるので入手直後にレジ袋から出し、車内が餃子屋さんの臭いで充満するのに耐えながら宿に持ち込んだのです。
宿のガステーブルとフライパンで温めなおして、少しコゲてしまったけどとても美味しくいただいたのでした。

かねてから試してみたかったカレーパウダーかけ餃子は、2粒ほど試して期待していたほど旨くなかったというかこの餃子にはカレー粉はあまり合わないようです。

夜20時頃までダラダラ晩酌してたのですが、さすがこの時期の岩手の山中の防寒の弱い旅館ともなると、ファンヒータを使っていても寒さがじんわりと攻めてきます。
湯疲れも手伝い早々に床に就いたのですが、厳冬期はこちらにお世話になるのは少々きついようでした。

近頃は熱い湯の時には躊躇なく水で割れる心境になったので、湯は激熱でも浴槽が小さいから少し加水すれば入れるようになるからよしとして、でも他の人が入浴している間風呂が使えないのはかなりハンデになります。

個人的には女将さんがいろいろコミュニケーション仕掛けてくるものの標準語からかなり乖離があって意味を理解しづらいので少々ニガテ、宿泊料金も事前に聞いていたお値段から大幅アップでこの近辺相場だとコストパフォーマンスが良くない印象です。
さほどではないけど部屋と炊事場や風呂が少なからず離れていて利便性が良いと言えないし、ほかにも印象の非常に宜しくないことがあって、宿泊記事のネタができたのは良しとして個人的にはあまり好みでないし再訪はなさそうです。

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