鶯宿石塚旅館
東北(岩手県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
雫石 鴬宿温泉
≪2018年06月宿泊≫(1泊)
※当お宿は正式には石塚旅館ですが、国見温泉石塚旅館との区別のため、当HPでは鶯宿石塚旅館と表記しています※
相変わらず温泉三昧している余裕はこれっぽっちもないのですが、夏も近づきあちこち山奥の湯治宿が今年の営業を始めると、やはり挨拶しに行かずばなるまいと思ってしまうのです。
なにしろ、自称東北湯治文化の唯一のエバンジェリストですから。
ヌル湯好きな自分には湯温が高温なことに凄く腰が引けるのですが、宿泊料金が破格のリーズナブル感だし、裏八幡平から仙台直帰も結構ハードなので清水舞台の思いで帰りに一泊することにしました。
予約電話を入れると、女将さんが例によって国見の石塚旅館じゃありませんケドとあまり受け入れに積極的でなさそうな口調で電話に出て、それをやや押し切り加減で宿泊を申し入れたのです。
基本自炊宿泊のみの受け入れで1泊@1600+入湯税¥75のハズなんだけど、結局今回のご請求は¥1600、記事を書き始めた今になってハテ?間違ってなかったんだろうかとだいぶしんぱいになったりしてしまいますが、自炊湯治宿としても価格破壊といっていいでしょう。
ちなみに冬季はコタツ代とストーブ代1日¥600が加わり、厳冬期は寒すぎるからと受け入れを拒否されるのです。
当日裏八幡平からひた走って宿についたのは13時半、車は玄関目の前とか玄関わきとか宿の看板のところとか7台くらいは停められて、日帰り客が駐車するスペースを考慮したうえで玄関前の特等席に駐車します。
玄関を入っても従業員さんがうやうやしくお出迎えに来るような宿ではないのは先刻承知、右手の奥突き当たりの女将さんが住んでるエリアに声をかけて部屋にご案内いただきます。
今回の部屋は2階中央付近、部屋番のない玄関真上の部屋、開き戸を開けると板敷の踏み込みが1畳、その先に2畳の小部屋を介して8畳の客室です。
床の間が2畳、室内設備はお茶セット、6チャンネルの地デジチュナー接続の無料22インチくらいの液晶テレビといった室内設備です。
こちらの部屋も窓はシブすぎる木枠のシングルガラスで、障子ははまっているけど冬期はさぞかし寒いことでしょう。
アメニティは浴衣と丹前が事前においてあるだけで、自分は湯治専用制服を常時携帯しているので、次回予約から浴衣丹前は不要と申し入れなければなぁと思いました。
寝具は木綿敷布団+マットレス+木綿掛け布団+毛布が3セットほど押し入れにあり、コンセントは廊下側壁部屋中央あたりに2口×1で三又ソケットつきです。
今回はちょっと拍子抜けなことにカメムシはまったく見当たらず、いたらジェノサイドしたくなるけどいないとちょっとあいさつに出て来いと言いたくなるのです。
浴室は男女別内風呂だけで男性側は2m×2.5mのタイル張りのなかなかレトロ&シンプル&ビューティフルな浴槽がひとつ、湯温はその時々で低くても43℃、たいていは激熱湯で、水道蛇口だけはあって他にお客さんがいなければ原則的に自由に加水温度調整できます。
シャワー・湯蛇口なし、シャンプー石鹸なしです。
湯垢か綿埃みたいな湯の華がわずかに漂いほんのり硫黄臭のする鴬宿特有な上品な湯ですが、なにしろ狂ったように熱いのが玉に傷です。
チェックインしてしばらくして入浴しようとしたら軽く45℃以上あり、大量加水しはじめて少し温度が下がったころから日帰り客が続々来はじめたため、常連さんたちの前でおおっぴらに加水もできず、苦痛に耐えながら熱湯にはいったのです。
手足第二関節から先がしびれるくらいの熱湯なのに、ジモティーは感覚が狂っているとしか思えません。
加水するにも毎分数リットル程度の水量だし逆に湯の供給量もそのくらいと思えて、温度を下げるのも加温するのもすごく時間がかかってしまいます。
どう考えてもあんな熱湯は健康に悪いんですけどねぇ。
こちらは基本的に自炊湯治宿なので、炊事場には無料コンロ×2、流しが2槽、宿泊客が使える冷蔵庫×2、超旧式な電子レンジとガスオーブンらしき器具、電気炊飯器、調理器具類や鍋釜薬缶と多数の食器類、食器洗い洗剤・スポンジまでほぼなんでも揃っていて、設備は古いものの自炊には不便はありません。
流しは温水蛇口もあるので、冬場の皿洗いも快適なのは高ポイントです。
ジモティー入浴が引きも切らない熱湯なので風呂には早々に見切りをつけて、さっさと夕食作りに励むことにして17時頃から晩酌を始めました。
野菜炒めと豚テキ、マーボ豆腐など湯治食としてはちょっとヒネリを入れてみました。
普段は四川豆板醤と甜面醤とニンニク生姜花椒粉をアバウト目分量に配合して作るマーボー豆腐ですが、さすがに旅行中でそこまでできないから、スーパーで旨そうに見えた黒いマーボー豆腐という合わせ調味料を買って作ってみました。
旨味が薄っぺらくコドモ味付けでう~んという感じで、この商品はリピートはないと断言します。
酔いと湯疲れに加えて昨夜は就寝環境が良くなくあまり眠れなかったので、21時前には寝てしまいました。
夜通し雨音が聞こえ、やはりフカフカの布団はいい・な・・ぁ・・・・と、眠りに吸い込まれ朝まで快眠したのでした。
朝は6時前に起きるつもりが結局7時過ぎ活動開始となり、風呂の大量加水作業で一日が始まります。
一晩ひたすら熱さを増していた湯舟なので、20分ほど加水してようやく人間がかろうじて入浴できる44℃くらいになり、引き続き加水しながら小一時間ほど朝風呂しました。
6月中旬近くともなると外気温上昇に伴って水道水も温度が上がってくるので、ちょっとやそっとの加水では湯温を下げることはできなくなります。
とはいえ水道水温の低い冬場だと、それはそれで人が入浴できる温度になるまで浴槽脇で裸で待ってないといけないので、こちらもなかなかツラいお話です。
いずれにせよ当宿で適温の湯にありつくのは容易ではないのです。
ちなみに9時前には日帰り客第一号と第二号がきてたので、湯を勝手気ままにできるのはほんのひと時というか、でもある意味そのわずかな間の勝手気ままのために敢えて宿泊する値打ちもあるというものです。
朝になって気づいたんですが壱号室に泊まり客がいるようでした。
食事の配膳の気配があったので自炊でなさそうな事がわかったのですが、宿前にトラックが一台停まってたので建設系業務かなにかに従事する人がベースキャンプにしているんでしょうか。
仕事で長期滞在するなら、冬期でなければ風呂の湯温以外はとても都合のいい宿だと思います。
一階廊下突き当たり浴室前の洗面所に洗濯機が2台ありますが、たぶんお願いすれば使えなくはないと思いますが利用可否は不明です。
仕事でなくても、冬期でなければ風呂の湯温以外はとても魅力的な宿ですけどね。