湯治で使える小技
Tips08 長期湯治での入浴のしかた
自分の場合、「色が付いている」「濁っている」「舐めるとやたら不味い」「臭い」と4拍子揃った温泉がことのほか好きで、国見温泉、秋元温泉と少し色づきは薄いけど須川温泉にハマっています。いずれもお湯の成分が濃く入りごたえのある温泉宿で、むろんほかにも鳴子西多賀旅館なんかもいい湯で大好きですね。
これらに湯治宿泊した場合には、たいてい数日間、朝1時間弱、昼前1時間、夕方2時間くらい、風呂に入ります。もちろん延々と入り続けるのではなく、湯船に浸かったり出て涼んだりしながら過ごすのですが、だいたい正味浴槽に浸かっている時間は1日で1時間半くらいなんだろうと思います。
浸かったり涼んだりしながらでも普通一般的には、長時間強いお湯に入浴すると湯あたりを起こすとか気絶するとか、そういう副作用があるらしいのですが、自分はそういう温泉の入り方に体が順応してしまっているみたいで、心地よい湯疲れ状態程度にしかなりません。
そんな自分でも滞在3日目くらいになってくると、実はだんだん体表がヒリヒリし始めてきます。たぶん強い温泉成分の影響で、皮膚が軽い炎症を起こし始めるのだと思います。
かの有名な秋田玉川温泉(強塩酸性)だと、いきなり初日からピリピリするのだそうですが。
注)玉川温泉は昔から「医者に見放された病人が藁をもつかむ思いで行く温泉」とされていて、自分のように曲がりなりにも健康な人間が行っては、本当に玉川を必要としているお客さんに申し訳ないと思えて、実はまだ行ったことがありません。生活態度は十分不健康ですが。
普通一般的な温泉宿泊パターンだと夜30分くらい入浴、あくる朝20分くらい入浴して高々2泊するくらいでしょうから、その程度の入浴であれば特に気を使う必要はないでしょう。しかし気合の入った(ヒマ過ぎるとも言う)長湯治をする場合には、自分自身の体の湯慣れの度合いを考慮しながらそれなりにペース配分をしないとひどい目に逢うこともあると思います。
で、Tips08の登場(といってもたいそうなハナシじゃないまさしく小技)です。
昔から湯治は「7日ひとまわり」と言われています。
これは、効能あるよい湯治には7日間をかける必要があるという意味で、しかも入浴の仕方に伝統的・経験的推奨ルールがあります。
1日目:1回入浴
2日目:2回入浴
3日目:3回入浴
4日目:中休み(入浴しない)
5日目:3回入浴
6日目:2回入浴
7日目:1回入浴
というように徐々にお湯に体を慣らし、また体調を徐々にもとに戻すのが良いのだそうです。
入浴時間もはじめは短めからスタートします。
誰かのように1日目からいきなり何度も何時間も入浴するのは、決してお勧めできるやりかたではありません。
強い温泉で長期間湯治するときのもうひとつのコツは、石鹸でからだを洗うのを控えることです。
先にも書いたように国見、秋元、須川あたりで長湯治すると、皮膚がピリピリするようになります。
なので自分は、滞在中は意識的に体を洗うのを控えるようにしています。1日3回数時間も入浴して、ほかにはほとんど何もしないのだから、それでも別に不潔になるほどのことはありません。
うかつに皮脂分を洗い落としてナマ皮膚を強いお湯に曝した日には、すぐに湯に負けてしまうことでしょう。昔ながらの湯治場にはシャワーも蛇口さえもないことも少なくありませんが、それはそれで単に古臭いから、というだけではない合理性があるのかもしれませんね。
長湯治とまではいかない、1~2泊の温泉であっても、Tipsはあります。
昨今日帰り温泉が流行っていて、温泉めぐりマニアだと何箇所もお湯をまわるようで、日帰りマニアの中には入湯回数を稼ぐために、どうも一箇所当たり5分くらいしか入湯しないヒトもいるようです。
見ているだけでもあわただしいのですが、1日のうちにいろんな種類の温泉にはいるのは効能を打ち消しあって逆効果になる、という説もあります。
真偽のほどはよくわかりませんけど、いずれにしてもやはり温泉はゆっくりのんびり入るのがよいと思います。
おわり