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船沢温泉
東北(秋田県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
能代 船沢温泉

≪2011年05月宿泊≫(1泊)

2011ゴールデンウィーク、秋元温泉3連泊の後の8日目は、
●花岡温泉を秋元の上がり湯として堪能
●秋田比内や 大館本店で「極上親子どんぶり」+「鶏唐揚げ」賞味
●道の駅たかのすでししとうアイス
●漣(さざなみ)温泉入湯

とこなして、能代の船沢温泉に投宿です。

ホントは下前田温泉の寿荘にも日帰り入湯予定だったのですが、行ってみたら源泉がH20/04に枯れていて、週2日だけの沸かし湯営業になっており、しかも当日は休業だったので、せっかく長い道のりを走ってきたのに泣きながら引き返したのです。
一方花岡温泉はテレビ番組「ふだん着の温泉」にでも出てきそうなジモ専の飾り気のカケラもない素朴な温泉で、無色透明無味無臭のお湯が強烈な秋元温泉の上がり湯として予想外に体に優しい良い心地でした。
無色透明無味無臭もいいもんだな~、と初めて思いました。

さて今日のお目当て船沢温泉ですが、こちらは何を隠そうH23年2月に一旦、二十数年続いた旅館営業を廃業した温泉宿です。
女将さんというか宿のばっちゃが、ご主人がお亡くなりになったこともあって「年だししんどくなったから」と廃業を決められたそうなのですが、3月の東北大震災で「是非とも被災者にゆっくりくつろいで温泉に入ってもらいたい」と4月から復活営業されています。ありがたいお話ですね。
そういう事情から、前からマークしていたお湯でもあり早め(ばっちゃの気が変わらないうち)に宿泊して温泉に入っておかねばならぬと訪問したのでした。

そもそも例年ゴールデンウィーク後半にお世話になることにしている須川高原温泉旅館の営業開始が間に合わなかった、という事情もあります。須川は積雪が多かったことに加えて地震の影響もあって、開業に手こずったようです。
ここ数年のゴールデンウィークは国見温泉にもご縁が薄いし、なんかちょっと寂しいですね。

さて当日船沢温泉に他に宿泊者はなく泊まりは自分だけ、1泊2食@7000(オール込み)でした。

客室数はあまり多くはありませんが、廊下やロビーは広くて開放的に作られていて、見た目はまがうことなく場末な外観の温泉宿兼日帰り温泉です。
秋田県船沢温泉 外観
秋田県船沢温泉 外観
秋田県船沢温泉 玄関
秋田県船沢温泉 ロビー

お世話になったのは「菊の間」でたたみ8畳+窓側板の間2畳+踏み込み1畳の部屋です。窓には障子はありますがカーテンはありません。
室内設備は100円タイマーのついた14インチアナログテレビ、ストーブ、和テーブルだけ、アメニティはお茶セットとポット、浴衣、丹前と、ややシンプルな客室のお宿です。
ばっちゃが鉢植えとか盆栽とか好きそうなので(玄関は鉢植えだらけです)、それで客室名も菊とか植物の名前をつかってるのでしょうかね。
秋田県船沢温泉 菊の間
秋田県船沢温泉 菊の間室内
秋田県船沢温泉 菊の間室内
秋田県船沢温泉 菊の間室内
秋田県船沢温泉 菊の間室内

コンセントは板の間のテレビ横、テレビの逆側にそれぞれ2口×1があります。
寝具は(マットレス×1+木綿敷布団×1+毛布×1+木綿掛け×1)×4という構成です。

さて前からマークしていたお風呂ですが、なんと蒸発残留物(つまり温泉成分)が35.9g/kgもある強食塩泉です。事前リサーチではかなりアンモニア+臭素クサいという印象があったのですが、実感としてはそれほど強烈ではなく、とはいえやはりさすがに入り心地の強い温泉でした。

もっとも秋元温泉に3泊した直後だったのと、思う存分入浴できなかったのとで、今回のお湯の印象は正直少し薄かったです。震災による復活営業のため入浴時間が宿泊者・日帰りともに13時~21時と短縮営業しており、日帰りのお客さんも多くて宿泊したからゆっくりのんびり長湯、というワケにもいかないのです。
あの強食塩泉だとあまり長湯すると強烈に湯あたりすると思いますから、そのくらいでちょうど良いのかもしれませんけどね。

21時過ぎには館内がほぼ真っ暗になるし、朝風呂も入ることができませんので、ちょっと温泉マニアにはツラいところです。
でも地元の常連日帰り客は夕方になるとひっきりなしにやってきます。当お宿の復活営業を最も喜んでいるのは、間違いなく地元常連客でしょう。
こちらのお宿にお世話になるときは、昼過ぎ早いうちに宿に着いて入浴時間を稼ぐのが宜しいでしょう。

こちらの宿泊を楽しむポイントは実はもう二つあります。
一つは宿のばっちゃのトークです。お話好きなのでお相手していると結構時間を食うのがご愛嬌なのと、方言がかなりキツいのでしばしば言ってることがわからなくなるものの、なんだかホノボノするお話しぶりがナイスで、結構ファンになってしまいます。

もうひとつは食事です。夕食は18時から食堂でいただいたのですが、これがスゴいのです。
秋田県船沢温泉 食堂
秋田県船沢温泉 食堂

まぁ@7000としてはややショボ目の料理↓だな~、と思いきや、ばっちゃ特製のきりたんぽ鍋がメガ盛りで付いてきて、しかもこれがまたすさまじく美味いのです。
(すいません、肝心のきりたんぽ鍋の写真は撮り忘れました)
秋田県船沢温泉 夕食(きりたんぽ鍋除く)

以前にも比内地鶏料理専門店(大館の某店とか)含めて何度かきりたんぽ鍋は食べたことがありますが、自分の人生で一番美味しい鍋でした。使っているきりたんぽ汁はばっちゃの手作りだそうで、自家栽培の野菜で出汁をとった無化調だとかで秋田からも食べに来る人がいるのだそうです。きりたんぽ鍋はばっちゃが目の前でカセットコンロで作ってくれます。
実はきりたんぽ鍋で力尽きて、きりたんぽ鍋のおまけのうどんはおろか、ほかの料理にろくに手が出ませんでした(残念)
いったん営業をやめて宿名を染めたタオルを出さなくなったから、とのことで、ビール中瓶サービスしていただいたことも書き添えておきます。

なお手作りきりたんぽ汁はお宿で購入することができます。たぶん要予約なのと、今回はまだ温泉旅の途中で傷めると悲しいので分けてもらいたいのを我慢しましたが、あの汁は十分に購入する値打ちはあると思います。夢に見る、とまでは言いませんけど、あの味が思い出されてなりません。

朝風呂には入れないとのことでしたが、朝6時前に浴室を覗いてみたら昨夜からそのままの残り湯が37℃くらいだったのでよほど風呂ドロボウしようかと思いました。が、強食塩泉ですから湯疲れして安全運転に差し障っても困るので涙を飲んであきらめ、写真だけ撮ったのでした。
秋田県船沢温泉 浴室脱衣所
秋田県船沢温泉 浴室脱衣所
秋田県船沢温泉 浴場
秋田県船沢温泉 浴場

朝食もばっちゃの喋りを聞きながらいただきました。品数・味とも充実の日本の朝食で、少々風呂には不自由を感じるものの、十分な満足度の温泉宿と言えると思います。食べすぎましたけど。
秋田県船沢温泉 朝食

ばっちゃは、「自分は引退するかもしれないけど宿は誰かに継がせるので、被災地の方には是非くつろぎに来てもらいたい」と熱心に仰っていました。
でもばっちゃのトークと手製きりたんぽ鍋がなくなってしまうと、お湯は上物でも宿の魅力は個人的には半分以下ですな。
まだかくしゃくとされていましたので(早朝から畑仕事やってるし)しばらくの間はお達者だろうとは思いますが、ばっちゃがご健在な間が当お宿の旬なのだと思います。

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