北温泉
関東(栃木県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
那須 北温泉
≪2011年09月宿泊≫(1泊)
仙台に来てからの湯めぐりはどちらかいうと北向きに走っていくことが多くて、このおぼえがきも仙台以南の記事はあまり多くないことから、今回、原発問題で少々元気を喪失している福島にわずかでもお金を落としたいという思いもあり南下しすることにしました。
実は10年ほど前、那須からほど近い福島県白河で暮らしていたことがあるのですが、北温泉はまだ未湯でかねてから宿題のひとつになっていましたので、ついでに足を伸ばしての訪問です。
当日は
●白河で3年間お世話になった蕎麦屋の丸八で久しぶりにかつ丼の昼食
●那須南が丘牧場でソフトクリーム賞味
●なぜか那須観光協会のフリースポットでネットにつながって一仕事
●那須湯元の共同湯の鹿の湯入湯
の後、16時頃に到着しました。
車がアクセスできるのは宿から400mほど離れた駐車場までで、そこから玄関までは緩い下り坂の林道をせっせと歩いていきます。
積雪期は除雪はしてくれるだろうし、荷物の搬送用と思われるクローラー車両もあったのですが、なにしろちょっとアプローチが長すぎる気はします。ようやく視界に入ってくるお宿を見ながら、良く考えればチェックアウト後は、緩いとはいえ400mの上り坂を上がって娑婆に戻らないといけないことに気付きます。
こちらのお宿にお世話になるときは、不要不急の荷物は車のトランクに残し最小限の持ち物で望み、かつ自炊なら持ってきた食べ物・飲み物はすべて食べつくして(少しでも軽くなって)帰路につく心構えが必要です。
宿泊予約は電子メールか電話・ファックスで、事前にホームページで宿の混み具合が参照できないのはちょっと不便ですが、メールを見てもらえるだけでもありがたいと思っておきましょう。自炊宿泊@4650(+消費税¥214+入湯税¥150の都合仕上がり¥4,650)で予約しましたが、長期滞在は少しディスカウントされるようです。
岩手の自炊湯治宿の倍近くしますが、関東圏なので相場の高さはあきらめましょう。
お世話になったのは「松321号室」、江戸安政時代築で各フロア10室前後の客室がある建屋の2階部屋です。ほかに明治時代に建てられた「竹」客室、昭和築の「梅」客室がありますが、ここはやはり、ある意味文化財級の「松」に滞在するのがお値打ちです。
部屋は踏み込み0.5畳、畳7.5畳、出窓部0.75畳の広さで部屋の鍵はかかり、窓にはカーテンと出窓に障子があります。
過不足ない落ち着ける雰囲気の部屋ですが、宿泊当日はやたら蚊取り線香臭かったです。
部屋内に臭気取りなのかいくつか木炭が置いてありましたが、夏の盛りにガンガン焚いて染み込んだと思われる蚊取り線香の臭いには無力なようでした。
室内設備はコインタイマーに接続されているのに何故か自由に見られる16インチワイド地デジテレビ、(7チャンネルと放送大学チャンネルが映る)、40リットルくらいの冷蔵庫、タオル干し、座布団2枚、ちゃぶ台代わりの布団のないコタツ、お茶セット(ティーバック7くらい)とポットです。
アメニティはシーツと枕カバーのみ、浴衣は追加チャージとなります。
コンセントはテレビ後ろに2口×1です。
自炊湯治宿ではよくあるパターンで、「客室内火気厳禁」の表示があります。めったに見ることさえできない150年前の建物ですから、火事を起こさないよう気をつけたいものです。
ある意味人類共通の財産ですから。
寝具は綿敷布団×3、毛布×3、綿掛け布団×4、枕×4がありました。
館内「松」エリアは結構迷路のように入り組んでいます。松エリアも何度か増築されているように見受けられ、館内構造をメモリーするまでしばらく掛かりました。
今回はあわただしく1泊だけなのでたいした自炊はしませんでしたが、共同炊事場は食器・調理道具、無料ガスコンロ、電子レンジ、オーブントースター、食器洗剤にスポンジと結構設備も充実しており、不便はありません。「松321号室」なら炊事場から1部屋離れているだけなので、配膳も楽勝です。食料大量持ち込み者用の鍵付き冷蔵庫も洗濯機も炊事場にありました。
風呂はメイン浴室で混浴の「天狗の湯」、女性用で近寄ってさえいない「芽の湯」、男女別露天の「河原の湯」、屋外の男女別「相の湯」、温泉プールみたいな露天「泳ぎ湯」があります。「天狗の湯」の奥にはうたせ湯と、空いていれば自由に入れる家族風呂もあります。
「河原の湯」は比較的新しい作りですが、それでも明治時代のものです。
「泳ぎ湯」は宿へのアプローチ横で他のお客さんからモロ見えの立地ですが、水着着用でも丸裸利用でもどっちでもいいという、誠におおらかな運用です。
ひととおり入浴しましたが、自分は川音がザァザァ聞こえて比較的湯温低めの河原の湯が一番居心地が良かったです。
【天狗の湯】
【河原の湯】
【相の湯】
【泳ぎ湯】
【うたせ湯】
【家族風呂】
それにしてもこちらのお宿、古い温泉旅館というよりは、温泉風呂が備え付けられた骨とう品というべきです。骨とう品好きには垂涎もの、なかなか館内を見て回るだけでも楽しめます。なにしろ江戸時代建造ながら現役のお宿ですから、いい具合にババッチさなく鄙び・古びています。
結構お値段は張りますが、いちど泊ってみる値打ちは十分あるでしょう。
もっとも、宿をチェックアウトして駐車場まではちょっとした道中になりますから、そのつもりで泊りに来てください。
なお当館には猫が2匹います。大番頭格の猫は15歳だとかで、帳場付近で店番をしていることが多いようです。小番頭さんは今回はほぼ終日廊下に寝そべっていました。