久七温泉客舎
東北(青森県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
大鰐 大鰐温泉
≪2012年09月宿泊≫(1泊)
自分が津軽方面にくるのは津軽湯の沢・秋元温泉と新屋温泉目当てで、これまで無色透明・無味無臭の大鰐温泉にはほとんど関心をもたなかったのですが、このたびとても大変なことに気づいて訪問に至ったのです。
大鰐温泉には「客舎」と呼ばれる自炊湯治宿があります。この呼び名は大鰐と温湯あたりの津軽地方の一部にしかないもので、ほんの数年前には大鰐には4軒の客舎がありました。
ところが今回調べたところ2軒がすでに廃業、1軒は宿泊受け入れをやめており、宿泊できる客舎は1軒だけになっているのです。
ここ2年ほどで絶滅危惧種になってしまったというわけで、自炊湯治宿ハンターとしては絶滅するまでに宿泊しておかなければなりません。
というわけで唯一生き残っている久七温泉客舎さんに1泊素泊まり@3000(オール込み)でお世話になることにしました。
一方通行が多くて少々わかりにくい大鰐温泉街の西寄りに当館は立地しています。
お宿で聞いたら車は宿の前に停めればよいとのことで、宿に寄せて路駐しました。宿前に停められるのは2台、無理して3台ですが、失礼ながら宿泊で車が3台を超えることはなさそうに思えるので、あぶれることはなさそうです。
宿入口は道路から宿に向かって左側の路地を少しはいった側面にあります。
道路沿いはそれほどでもないものの、入口周りはかなり建物に年季を感じます。
客室は2階に10室くらいあり、奥まったあたりの部屋に案内していただきました。室名・部屋番なしです。
踏み込み1畳、畳客室6畳に衣装入れと床の間で30cmほど奥行きがあり、窓側にはテーブルセットが配されたカーペット敷き2畳ほどのスペースがあります。
窓にはカーテンがかかっていて畳部屋とは障子で仕切られています。
室内設備は和テーブル、お茶セット、16インチワイドの無料デジタルテレビでありがたいことにエアコンがあります。アメニティはティッシュはありましたが、浴衣があったかどうか定かではありません。
布団は敷布団・掛け布団・毛布が各3くらいとタオルケットがあったと記憶しています。
てっきりセルフ敷きだと思って勝手に敷きましたが、夜遅くになって女将さんが敷きに行くのを忘れてた、と言っていました。宿泊があること自体が少ないようなので、てっきり客がいることをわすれていたのでしょうか。まぁノープロブレムですが。
コンセントはテレビ後ろ2口×1(TVとエアコン)で、冬場の暖房用と思われるガス栓が床の間にあります。
風呂は奥側の階段降りた1階にあります。
脱衣所は温泉を使った床暖房なようで、夏場は少々暑めです。
浴室には無色透明無味無臭の、かけ流しの4人サイズの浴槽があります。43℃前後で、好みで湯を加えたり加水したりしてもOKらしき女将さんのお話しでした。刺激の無い大人しいお湯で、聞くところによると他施設とは別源泉らしきものです。
なぜか洗面台のような(というか洗面台だが)が浴室壁に設置されていて、温水・冷水蛇口がついています。シャワー、シャンプー・石鹸類はありません
夜遅くまで湯を浴びる音が途絶えることなく、ひっきりなしに日帰り入浴客が訪れているみたいでした。
共同炊事場設備は200リットルくらいの共用冷蔵庫、3~4基の蛇口、無料2口コンロ×1があります。鍋釜類・食器類はほとんどなく、電子レンジはありません。
ちなみにコンロは壁側に元栓があるほか、コンロ台の下手前左手に大元栓があって、これを開放しないと火を使えませんのであわてないようにしましょう。
宿帳を記入する際に見たら、ここ5カ月ほどの宿泊は4~5組ほどでした。
これではさすがに宿として経営は成り立たないでしょう。
湯治宿としては特段不都合はなく、お湯も好み次第ですがのんびり浸かれる良いお湯で特に碇ヶ関あたりの強烈なお湯の上がり湯には好適なのですが、当宿もいずれ消え去っていくのでしょうか。
地方の個性ある豊かな文化がどんどん消滅していくのは悲しいことです。