ITコーディネータ システムアナリスト 西川雅樹のホームページ


奥山旅館
東北(秋田県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
湯沢 泥湯温泉

2016/11日帰り湯として営業を再開、ただし11月~春までは冬期休業。
詳細は奥山旅館新ホームページ 【 奥山旅館の新公式ホームページはこちら 】 参照。
ご繁盛を祈念したい。 (2016/11/19)

2016/07/13出火全焼した模様。風情のあるいいお宿だったのですが残念です。
お宿ご関係各位のお力落としの無いことをお祈りします。

≪2013年04月宿泊≫(3泊)

以前から情報をキャッチしていて宿題の一つだった、泥湯温泉奥山旅館の冬季湯治コースをお試ししてみることにしました。
冬季間11/25~4/25(12/28~1/5は除く)は3泊6食@10000で泊れるのです。
(注)ほかに消費税、暖房料¥500/室・日と入湯税¥150/泊・人がかかり、1人泊になると割増料金として¥1050/泊がかかります。(一人泊だと〆て¥15600です)

結構人気があるようで、自分のスケジュールと部屋空きの折り合いをつけての訪問となりました。

この時期はまだあちこち冬季道路閉鎖で小安峡からも秋の宮からも泥湯にはアクセスできないので、雄勝側から県道51号線を登っていくことになります。秋田いこいの村の横をぬけて泥湯まではかなり細い道で、舗装されているとはいえ冬の山道に自信の無いヒトはなかなか行きづらい環境になります。
秋田 奥山旅館 アクセス
秋田 奥山旅館 アクセス

湯沢駅から泥湯温泉行きバス(冬季はいこいの村止まりじゃないかと思う)があるようなのでいこいの村まで行って、そこから宿に送迎してもらうほうが賢明かもしれませんが、詳しくはお宿に問い合わせるのが確実でしょう。
秋田 奥山旅館

車は十分に広い泥湯駐車場にも停められますが、露天風呂奥の道沿いにスペースがあって皆さんそちらに駐車しています。
秋田 奥山旅館
秋田 奥山旅館 玄関ロビー
秋田 奥山旅館 玄関ロビー
秋田 奥山旅館 本館1階廊下

チェックインは15時ですが14:30に着いたら入室許可が出たので入館して、本館階段上がってすぐ、トイレ横の「岩団扇」(いわうちわ)にご案内いただきました。
本館2階には11客室あって1階が5~6室(?)、道向かいの別館にも客室があるみたいでそこそこの規模です。
秋田 奥山旅館 本館2階廊下
秋田 奥山旅館 岩団扇

外鍵のかかる木の扉を入ると踏み込み0.5畳、客室部6畳敷きの東向きの客室です。
秋田 奥山旅館 岩団扇室内

部屋備品は和テーブル、お茶セット、教育含め5チャンネル映る19インチワイドくらいの無料デジタルテレビ、造りつけの衣装入れの中に金庫といったところです。ファンヒータもありましたが使わずじまいで、たぶん有料オプションの冬季暖房器具だと思います。
秋田 奥山旅館 岩団扇室内
秋田 奥山旅館 岩団扇室内
秋田 奥山旅館 岩団扇室内

アメニティは浴衣と丹前だけです。
コンセントはテレビ脇に2口×1(TVで1使用)、入口近く廊下側壁に1口×1です。
窓は2重窓になっていて内側は障子風の仕上げになっていますがカーテンはありませんので、直射日光こそ入らないものの朝寝坊は少々キツいでしょう。
宿泊中に懇意にしていただいた新潟の常連おとっつぁんの奥さん情報によると、オプションチャージ(¥1050/泊・人)を追加支払いすれば洗面・トイレ付きの部屋で冬季湯治コース扱いにしてもらえるそうです。
秋田 奥山旅館 共同洗面所

風呂は、本館に1箇所、外に出て別棟で2箇所ありますが、残念ながら当宿では風呂場への撮影機材持ち込みは禁止されているので、風呂の写真を公開することはできません。
秋田 奥山旅館 施設見取り図

昨今他のお客さんが入浴しているのにお構いなく写真を撮る不躾者が少なくないので、これもやむを得ないことでしょう。
様子が知りたい方は、撮影禁止以前に撮られた写真がいろんなホームページに掲載されているので探してみてください。

本館の内湯は混浴岩風呂で、たぶん日帰り入浴だと入れないお風呂だと思います。
男性の専用時間帯(07:30~08:30、18:00~18:45)あるいは女性の専用時間帯(06:30~07:30、18:45~19:30)があるほかは基本的には混浴で、3m×4mくらいの灰白色濁りでわずかに硫黄臭のある単純泉掛け流しのお風呂です。
2013/04滞在時はだいたい41~42℃に設定されていて、薄暗くて湯気がもうもうだしそれほど混浴を意識せずにすむ風呂です。
秋田 奥山旅館 混浴岩風呂
秋田 奥山旅館 混浴岩風呂
秋田 奥山旅館 混浴岩風呂

投宿して最初にはいったのがこちらの風呂なのですが、入った時は誰もいなくて寛いでいたらやがて女性脱衣所から入ってもいいかという声がかかり、どうぞ、と答えたら地元の婆っちゃがぞろぞろ4人入ってきました。
最初のうちは彼女たちは女性脱衣所近くに固まっていましたが、だんだん湯船全面に分散しはじめて気づいたら湯船の大半を占領されてしまい、少々圧倒されながらの入浴となりました。
婆っちゃは果てしなく拡散するものだ(^^;)、と理解しておきましょう。

本館を外に出て南側には男女別大露天風呂があります。
秋田 奥山旅館 男女別大露天風呂
秋田 奥山旅館 男女別大露天風呂
秋田 奥山旅館 男女別大露天風呂

5m×15mくらいの湯船、蛇口もシャワーも石鹸類もなしです。
季節にもよるのでしょうが2013/04滞在時で日によって37~40℃くらいの長湯に絶好の湯で、結局今回の滞在で最も長く入っていた湯です。やはり薄灰白色濁りの単純泉です。
惜しむらくは湯面に漂う虫の死骸をすくえるよう、虫取りネットは常備してほしい気がしました。

本館を外に出て西側の天狗湯には、男女別の内湯と混浴露天があります。
2013/04滞在時の天狗内湯は42℃前後で薄暗く2m×5mくらいの内湯浴槽、シャワー・蛇口5基ほど、シャンプー・ボディーソープありです。外の露天は2槽あって各2m×4mくらい、41℃くらいと42℃くらいでした。
秋田 奥山旅館 天狗湯
秋田 奥山旅館 天狗湯

天狗湯の建物には貸し切り風呂もあるようですが、安全確保のため2人以上で予約の上で利用だとかでご利用しませんでした。
お湯の酸性度は高めなようで、1日数時間×3泊4日の入浴だとそこそこ皮膚が炎症を起こし始めますので、くれぐれも体質に合った入浴を心がけましょう。

もともと泥湯は湯治場だったハズなのですが、当宿では自炊や素泊まりは受け付けていないように見えて、したがって宿泊客が利用できる炊事施設等も見当たりませんでした。
帳場に頼めば熱いお湯ポットは(たぶん)いつでもいただけます。

夕食は17時半スタートで、1階大広間に宿泊客が一堂に会して宿泊グループごとに固まっていただきます。
秋田 奥山旅館 食事会場

座敷の真ん中に一人ポツンと座るのはあまり居心地は宜しくはありませんが、3泊6食@10000としては料理の内容はまずまずです。
若干ボリューム不足感は否めないものの、そう感じる人はご飯をお替りするなり追加料理を頼みなさいということなんでしょう。
(以下夕食)
秋田 奥山旅館 夕食1泊目
秋田 奥山旅館 夕食飲み物お品書き
秋田 奥山旅館 夕食2泊目
秋田 奥山旅館 夕食3泊目

朝食は7時半スタートで、やはり1階大広間に集合です。
秋田 奥山旅館 食事会場

こちらもお値段にしては悪くない内容です。食事の感想は至って淡白ですけど、お値段からすればくれぐれもお値打ちだと思います。
(以下朝食)
秋田 奥山旅館 朝食1泊目
秋田 奥山旅館 朝食2泊目
秋田 奥山旅館 朝食3泊目

もっとも「美味しい秋田米提供認証店」表示に関しては、どこのどいつが認証したんだ?という疑問が残る程度の米の炊き具合ではあります。
秋田 奥山旅館 秋田米提供認証店表示

あらかじめ覚悟しておく必要があるのは、食事の配膳にやたら時間がかかることです。
料理の大部分はすでに並べてあるのですが、夕食だと焼き物や揚げ物、朝食だとご飯とみそ汁の供給は定時に着座してから10分くらいたってからようやく始まる感じです。
手際が悪いというか、お客さんを待たせることを気にしていないように見受けられます。

連泊時の昼食は10時頃に従業員さんが各部屋に要否を確認しに来るので、必要ならお願いすればなにがしか食べさせてもらえると思います。頼まなかったのでよくわかりません。

寝具はセルフ敷きになります。
「岩団扇」部屋には押し入れに羊毛敷布団×2、毛布×2、羽毛掛け布団×2があります。
襟元シーツが用意されているのは好感が持てるところですが、薄っぺらい羊毛敷布団1枚ぽっちだと少々寝心地は良くないと思います。

今回は3泊しましたが、たぶん湯治コースとおぼしきお客さんがそれなりに入っていました。
初日に混浴をご一緒した婆っちゃたちなぞは湯治コース2セットの都合6泊していたそうです。
電気・ガス・水道代もかからず、毎日あげ膳据え膳で2食出てきて温泉入り放題テレビ見放題で1週間2万円なら、ヘタな老人福祉施設よりはるかにお得なのは間違いありませんな。

お宿の従業員さんたちは高卒くらいの経験の浅そうな若い人がほとんどです。
若年雇用に貢献しているという言い方もできなくはないでしょうが、仮にも秘湯の宿、人件費を抑えておもてなしクオリティーの維持改善を怠っているようにも見えて懸念がもたれます。

当面は泥湯では奥山旅館は一人勝ちが続くのでしょうが、宿泊客は後期高齢化率95%くらいとあと数年もすれば加速度的にリピート客が減りはじめると思われます。当泥湯にはもともと3軒の宿があったのですが、豊明館はすでに営業していませんし、小椋旅館も雰囲気的に経営はなかなか楽ではなさそうに感じられます。

温泉地で営業しているのが1軒だけになってしまうと場合によっては一挙に客足が落ちるものです。
そうならないための泥湯温泉郷としての将来戦略作り、魅力確立が今後の当地の課題なのは間違いないところでしょう。

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