銭川温泉
東北(秋田県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
鹿角 銭川温泉
≪2013年11月宿泊≫(1泊)
銭川温泉は2021年03月に閉館したそうです。心から残念です。
鹿角八幡平は10年くらい(?)に何箇所か日帰りで冷やかしたことがあるのですが、いまだ近辺の安宿に宿泊したことはなくて懸案にはなっていたので、このたびこの近辺を一気呵成に攻め落とすことにしたのです。
近辺ではここ数年、かつて日帰り入浴した温泉宿も含め何軒もの温泉宿が廃業しています。
昔からの自炊湯治宿らしき銭川は、国道341号線のアスピーテライン分岐近くにある自炊湯治メインのお宿で、前から宿題の一つでした。
これまで当宿を攻めなかった理由はオンドルです。
オンドルというのは当宿の場合温泉熱を利用した客室床暖房で、実は自分はオンドルが苦手なのです。
というか正確にはオンドルは未経験なのですが、電気毛布とか電気敷き布がそもそも苦手なのでおそらくオンドルだと快適に眠ることは困難だろう、と容易に想像でき、よって近寄りがたいイメージを持っていました。
で、当宿を攻めるなら中途半端に寒くてオンドルもさほど暑苦しくなく、かつ行く気にもなれないほど寒くないこの時期を選んで訪問を決行したのです。
宿泊予約電話では、当日は空いているので12時過ぎたらチェックインOKとお聞きしていて、13時到着を目標にして行動し、実際到着はちょっと遅れて14時前でした。お宿の都合によるのでいつでも早着できるとは限らないのは言うまでもありません。
折しも天候が急激に冬型になり今年初めて雪が積もった昼すぎでした。
こちらは東北のド田舎・山の中の気候激変は慣れっこ・織り込み済みなので、11月はじめにはとっくにスタッドレスに換装していて、4WDのマニュアル車なので余裕のよっちゃんで宿に着きました。
帳場の若女将さんは「え?来たの?(こんな予定通りに?)」というレスポンスで、たどり着けないか、もし来れてもかなり遅れるだろうと踏んでいたみたいです。
だてに長年、アブナい時期に東北の山の中を走り回ってはいません、そうは問屋が卸さないのですよ、ふっふっふ。
聞けば昨夜までのお客さんが一斉に引き揚げて、今夜は自炊棟の端っこにもう1組だけのほぼ貸し切りでの宿泊とのことでした。
やっぱり温泉巡りは、一般のヒトが活動を控え始めるこの時期が最も空いていて、しかも空気が寒すぎずひんやりしてのぼせないのでベストコンディションなのです。
今回もかなり的中している印象があります。
こちら基本自炊のお宿で自炊湯治1泊税込み@3000+入湯税¥70、布団をレンタルする場合は1組¥400で都合¥3470をチェックイン前金支払いするのがルールなようです。ご案内頂いたのは自炊棟入ってすぐ左手、トイレと炊事場向かいの10号室です。
当宿は帳場や浴室がある建物の2階にオンドルじゃない普通客室があり、玄関からまっすぐ突き当たって右手扉をくぐった先に18室ほどのオンドル自炊客室棟があります。
10号室は廊下でをスリッパ脱いで内鍵付きの木製引き戸をあけてはいる4.5畳の部屋で、床はコンクリートボードに合繊の畳表が1枚敷いてあるだけで、かなり床面は硬い感触ではあります。
窓はカーテンなしの二重窓で、朝も遅くまで寝るのはまぶしすぎるでしょう。
部屋設備は小さなちゃぶ台と造りつけの棚だけ、テレビや空調なんぞなく、自炊なので浴衣とかティッシュとかもありません。
※ロビーには自由に見られるBSテレビがあります。部屋にはテレビアンテナ線らしきものは引き込まれていたので、BSテレビなら持ち込めれば観ることができるのかもしれません。
入室時にすでに部屋にご用意いただいていた寝具は宿泊オプションで、マットレス1、化繊掛け布団、毛布、カバーなしの枕でした。
敷きものがマットレス1枚なので結構寝心地は硬くてゴリゴリして、自分には辛いものがあります。
部屋入り口逆側の壁に、消費電力に気をつけてとかいろいろ注意事項の記載のある2口コンセント×1があります。天井近くの窓わきにも2口×1があるのはエアコン用でしょうか。いずれにしても必要最小限な客室です。
初体験のオンドルでしたが、室温で20℃ちょっとくらい(当時の外気温はたぶん0℃~氷点下)、表面温度30度ほどで思ったほど暑苦しくないし寒くもない、長袖トレーナーがちょうどいいくらいの適温です。
もっとも人間に快適な環境はやはり居心地がよいと見えて、結構よく生長したカメムシが数匹ウロウロしていましたが。
ちなみに自炊棟は6畳部屋が数室、大部分は4.5畳で3畳間もいくつかあり、室内は一様に棚とちゃぶ台だけです。
3畳間の客室の照明が笠つきの白熱灯で、なかなかムードがあります。
結構こじんまりしてるものの、想像していたより古さも設備不足も感じない客室でした。
自炊棟のトイレは男女共用(小部屋は男女別)ではあるものの水洗で、和式となんとシャワートイレもありました。
自炊棟端っこには全自動コイン洗濯機2台の洗濯室もあるし、もっと旧式宿だろうと思い込んでいたので近代設備充実で驚きました。
共同炊事場には大型3扉冷蔵庫×2、電子レンジ×1、コンロ×5、流し蛇口×5(うち1は温泉水)といった設備があってすべて無料で利用できます。
ただし無料設備充実な割に鍋釜、調理器具、食器類はほとんどなく、必要なら有料貸し出しとなるのです。まな板はあって包丁はないのに食器洗い洗剤・スポンジはあり、これまで泊まり歩いてきた自炊宿とは結構コンセプトの違いを感じました。
男女別浴室は帳場がある建物、玄関からまっすぐロビー突き当たる手前左手にあります。
男性側はおおざっぱに2.5m×5mくらいの変形(台形)浴槽で、42℃くらいの無色透明無味無臭のかけ流し単純泉です。混合水栓シャワー×4、石鹸ありドライヤーありで、てっきりシャワーなぞないと思っていたのでこれも予想外です。
自炊湯治部には別に貸し切り風呂があります。
自炊棟の奥まった左手、脱衣所兼洗面所の奥に2m×3mくらいの渋い木製浴槽だけがある浴室があり、これがまた訪問時点(11月中旬)で湯温37℃と自分好みな絶好の熟睡入浴温度の風呂でした。
今回は男女別に30分ほど入ったのち、貸切風呂で1時間ほど寝て、また男女別で1時間ほど温まりなおした。
貸し切り風呂のデフォルト設定温度が37℃あたりというワケではなくて、たまたま外気温の関係でそうなっていたのだろうとは思いますが、はからずも銭川の湯を堪能できました。
なにしろ先入観というのは恐ろしいものでてっきりボロ・設備が十分でない・暑苦しいと思っていた銭川ですが、まったく異なる実態にたいそう驚きました。
ついでに驚くほどではなかったものの到着日に降りだした雪は翌日までそこそこ降り続いて、朝には積雪20cmになっていました。
用意周到ノープロブレム(長靴まで用意していて若女将さんに感心されましたけどね)ではありますが、車を掘り出すのに小1時間かかってしまいました。
チェックアウトは10時くらいだろうとは思いますが、他にお客さんがいないこともあり大女将さんから道路の除雪が済んでちゃんと走れるようになるまで、昼くらいまででも居ていいよ、と有難いお言葉をいただき、それでなくとも11時頃まで居座ろうと思っていたのでご厚意に甘えてのんびりさせていただきました。
銭川温泉の設備、オンドル、秋田八幡平の気候、なにかと認識を新たにした滞在でした。
考えてみれば、正月明けからゴールデンウィーク頃までは「いちおう冬季休業(だけどどうでも泊りたければ断りはしない)」のこちらのお宿、その時期だとほぼ自動的に全館貸切になるんですよね。
あまりオンドルは自分に合ってなさそうだし、その時期はそもそもアクセスが若干不安定にはなるけど、ちょっとソソられてしまいます。
なお今回はちゃんと鹿角花輪で食べ物を仕込んで臨みましたが、予想通り近辺で食材を仕入れることができる店舗はほとんどなく冬季だと2.6km離れた青沢商店(青沢商店の場所はこちら)というミニスーパー一か所だけ、夏だともう1箇所2km強はなれたキャメルマート(キャメルマートの場所はこちら)も営業、という感じです。
当宿で素泊まりするならそれなりに用意周到な準備が必要となります。