新岡温泉
東北(青森県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
弘前 新岡温泉
≪2014年06月宿泊≫(1泊)
うんと昔(っても5年ほど前かな)道に迷いながら日帰り入浴に来たことがあって、いい湯だったな~という薄っすらした印象だけが記憶に残っていました。
今回こちら方面に来る気になって、いい思い出になるか後悔するかは別としてやはりここには宿泊して雌雄を決するべきだろう、と思ったわけです、漠然と宿命を感じて(笑)
来たことはあって雰囲気は良くわかっていたので、ほんとに宿泊するかどうするか、それはそれで逡巡というか葛藤はありました。
でも、東北格安温泉宿日本一を目指すならやはり避けるべきではないと思ったのです。
自炊というか素泊まりというかそんな感じで予約して、おいくらなのかも確かめずに1泊お願いしました。まぁ今回の津軽の旅の重要な目的の一つがこちらへの宿泊のけりをつけることだったので(大袈裟にいっても結局素泊まり@2500でしたが)、あまり気にならなかったのですね。
ちなみに領収証は使い果たしてしまっていていただけませんでした(爆)。
素泊まりなので当然夕・朝食の調達に念入りに時間をかけて現地入りしたのは、チェックインOKが出ていた13時をかなり遅れて14時半くらいでした。
ここんちは前回もそうでしたがだいたいにして帳場に宿の人がいないことのほうが多そうなのです。
今回もまさに誰もいなくて(帳場に犬がいてワンワン吠えるのも確か前回通りです)建物内を一通り探して、たぶん2階の3号室だけに布団が置いてあるからここだろうな~とか思いながら、深追いせずにまずは風呂に入ることにしました。
遅かれ早かれ風呂に入るしいずれはお宿の人ともコミュニケーションはとれるでしょうから。
風呂に入ると日帰り先客がいて事情を話すと、「自分が入浴に来た時にはいたんだがな~」とかユルいお話です。地域に溶け込んだ昔ながらの風呂、ってぇ感じです。
のんびりしっかり5年ぶりの入浴を満喫して持参の湯治滞在着に着替えて出たのが15時過ぎ、宿の婆っちゃが帳場に座っていました。
宿泊予約してたんですけど~、あ~3号室ね~、でチェックイン終了です。
お宿の玄関の真上あたりの部屋にセルフで入室します。
改めてふすまを開けると踏み込み0.5畳、畳6畳、床の間0.5畳のこじんまりした部屋です。
浴室の湯気抜きのすぐ前なので、入浴客が浴室で話しているとそれにエコーがかかってびっくりするほど良く声が聞こえる部屋です。
日帰り入浴がいかに繁盛しているかよくわかります。
室内設備は和テーブル、お茶セット、ファンヒータ、教育含め5チャンネル映る地デジチュナー接続の25インチくらいのアナログ無料テレビ、鏡台、といった感じです。
シングルガラスの窓には障子が入っているだけなので冬場の宿泊は寒いに違いなくてお勧めできない側面があり、網戸も入っていないので真夏の宿泊もお勧めできない側面がありますが、駐車場と周辺ののどかな田園風景が一目で見渡せます。
こういう風景もなんだか少なくなってしまったな、というような郷愁に誘われる眺めなのです。
入室時点でマットレス+木綿敷布団+毛布+木綿掛け布団が搬入されていました。
部屋には押し入れはなくて、御歳80才の婆っちゃが布団部屋から運び込むようです。
コンセントは床の間に2口×1、一方の壁のかなり高所に1口×1で、上のほうにあるコンセントからはOAタップがぶら下がっていました。
2階男女共用トイレ(男性の札がはがれて久しく、女性専用トイレに見える汲み取り式トイレです)の奥に簡単な炊事場があります。
流しとコンロ台と、鍋釜薬缶、炊飯器、食器類がおいてあって、でも食器洗い洗剤、包丁まな板、調理器具類は有りません。水場コーナー出たところに150リットルくらいの2扉冷蔵庫があります。
宿のばっちゃがいる帳場スペースには電子レンジやオーブンレンジもあるように見えたのですが、ばっちゃの愛犬がとにかく吠えまくるので帳場内への進入は難しいと思います。
婆っちゃとお話した時に使いやすいところに電子レンジを置いて、流しに食器洗い洗剤を置いとくといいよ~、と進言しておきました。
男性浴室は、2m強×4mくらいの湯船にちょっとヌルっとする緑色を帯びた42~43℃の湯が毎分60リットルくらいのかけ流しになっています。
じんわりとした泡つきがあって、「源泉温度が高いので加水している」との掲示があったのですが、それでも強い浴感の湯です。
湯に日光が差し込むと湯が揺らめいて緑っぽい金色の縞模様に見えてなかなかビューティフルなのですが、それに見とれているとひどくのぼせそうな温まり湯に思えました。
なお湯船内はやたら滑るので要注意です。
洗い場は湯・水の蛇口が9セットほどあり、湯の蛇口からは加水源泉と思しき湯が出ます。
シャンプー・石鹸等はありません。
日帰り入浴時間は9時~20時で、農作業が一段落する15時過ぎくらいと、勤め人が仕事を終えて帰ってくる18時前頃は結構混んでいます。
親父や爺さまが農作業の汗を流しに来るのに連れられてきていた子供や孫達が、長じてやはり同じように入浴に来てるんじゃないかと思いました。
ほんの1kmほど市街寄りに設備よし・大きな水風呂ありで今風のあたご温泉があるのですが、お湯のよさからこちらへの入浴客は引きも切らない状態で、お客さんもなかば家族同然な雰囲気だしこういう連綿と続く変わらない毎日って微笑ましく、まさに普段着の温泉というヤツだと思うのです。
とはいえ、青森なのになぜか不思議と朝はほとんど入浴者がなさそうでした。
この宿(というか風呂)は婆っちゃ一人でまわしてるようで、布団を出すのが大変だから1日3人くらいしか受け入れしないんだよと笑っていました。
客室はたしか5室くらいあったので、部屋掃除も布団の出し入れも自分でやるからといえば、もしかすると近隣で宿が取れない時の緊急避難先に使えるかもしれません。こちらに泊まる勇気があれば、ですけど(笑)
婆っちゃはかくしゃくとしているしけっこう愛嬌も味もあってかわいいのですが、とはいえ遅かれ早かれという状況ではあります。
婆っちゃには少しでも長く健康でいて、湯を長く大切に守っていただきたいと思います。
ちなみにさっさとお勘定をしておく方がよさそうだと判断し、婆っちゃとそのように相談してお支払いは夜のうちに済ませておきました。よって婆っちゃは自分が出発するときにはもう安心して畑仕事に出かけていて宿には不在で、残念ながら犬だけに別れを告げて宿を出たのです。
もしご縁があれば、婆っちゃの元気な顔をもう一度拝みたいものです。