星沼山荘
東北（宮城県）格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
大崎　中山平温泉

≪２０１４年１２月宿泊≫（１泊）

星沼山荘は２０１６年０８月に問い合わせたところ、湯が枯れたらしくて宿泊・日帰りとも営業をやめたそうです。心から残念です。

アグレッシブに温泉宿をしらみつぶしに攻めまくったヒトか昔からの常連しか知らない宿、なんてぇのが東北には少なからずあったりします。
こちらの宿も○×観光協会ホームページとかそういった公式観光情報などには気配すら掲載されていない宿なので、ほとんどの人がスルーしてしまうお宿じゃないでしょうか。


以前からこちらの存在は知っていて何度か宿泊にチャレンジしようとしたのですが、電話に出ないことが少なくないうえ、１回は「湯が止まったからダメ」次は「急に雪が降って車が停められないからダメ」と門前払いを食って、３度目のチャレンジでようやく宿泊のお許しが出たのです。


ちなみに２～３回日帰りなどで偵察に来たうえでの宿泊で、入湯税消費税込みで＠３２４０ぽっきり、冬季暖房料請求なしと鳴子近辺では激安です。

宿泊予約時には食事なし・自炊受け入れのみと言い渡されて無論一切食事の提供はないもののすぐ目の前に朝７時前からほぼ定休日もなしで開店している食堂があって、素泊まり派にも意外と優しいお宿だったりします。

今回は宿泊予約時に１４時頃に着くと言っておいて１３時半に着いてしまいましたが、特に問題なしで速攻で部屋にご案内頂きました。


建物は２棟あって、向かって左側が星沼レストハウス、右側が星沼山荘です。
レストハウスはかつては食事を出していたようですが、今は日帰り湯と温泉卵販売だけをやっているようです。レストハウスで受付して山荘に案内していただく流れです。




今回お世話になるのは山荘入ってすぐの南向きの１０６号室でした。



内鍵がかかる木の引き戸を開けると８０リットルくらいの冷蔵庫がある１畳ほどの踏み込みで、ふすまの向こうが８畳の客室です。
冷蔵庫の上に自炊用３人分の茶碗や椀がありますが、皿と箸はなさそうに見えました。




室内設備は和テーブル、お茶セット、デジタルチュナーを接続したＥＴＶ含め６チャンネル映る無料の１４インチくらいのアナログテレビで、押し入れに小ぶりな鏡台と扇風機がしまってあります。




室内暖房はこの近辺でよく見かける放熱板が付いた温水パイプ暖房で、おおむね寒くはないのですが念のため、とストーブを入れて戴いていました
なお廊下にも放熱板つき温水パイプ暖房が設置してあって、自炊調理中でも寒くないのはとても有難いです。

部屋幅全幅の窓にはしっかりしたカーテンと障子がついています。
自分は小型加湿器をつけて寝ましたがそれでも、シングルガラスなので窓の結露による室内乾燥はかなりなもので翌日は少し喉がイガイガしました。

アメニティは一泊＠３２４０では恐れ多い浴衣・丹前があります。
押入れには羊毛敷布団４枚、木綿敷布団３枚、木綿や合繊の掛け布団３枚、毛布３枚が入っていて当然セルフ敷きです。
コンセントは窓下部屋の一番奥に２口×１、テレビ脇に２口×１（テレビで使用）といった感じです。

レストハウス側の男女別風呂は、男性側は３ｍ×高さ４ｍくらいの直角三角形の角を落としたような浴槽に、激熱源泉が毎分数リットルほどかけ流しになっています。




水面の温度は高いもののよくかき混ぜると４１～４２℃くらいに適切に給湯量をコントロールされているようで、あわてて加水する前によくかき混ぜて塩梅を見てから加水を検討するほうがよいでしょう。
シャワーなし湯蛇口なし、シャンプー・ボディーソープなし、石鹸ありです。
さほど一般知名度は高くないと思えるものの、ヌルツル度は自分の感覚では羽根沢に迫りほのかな硫黄臭が幸せな、侮れない湯です。

ちょっと覗いた女性側は湯が張られておらず、おそらく女性入浴客には山荘側の湯を供しているように思えました。


山荘側の内湯はおおむね貸し切り運用されているような、２．５ｍほど×３ｍほどのコンクリー打ちっぱなしの地味な浴槽で、こちらもよくかき混ぜて４１～４２℃の適温です。



洗い場というには小さいかけ湯スペース２ｍ×２ｍほどと１畳に満たない脱衣所があるだけ（シャワー、湯蛇口、シャンプー、ボディーソープなし、石鹸あり）なのですが、これはこれで味わい深い、娑婆の言うに言えないイロイロを洗い流せる侮れない魅力がある湯だと断言してしまいましょう。

ちなみに源泉は駐車場の隅から噴き出しているアルカリ単純泉、刺激も湯疲れも少ないおとなしい湯です。


以前「湯が止まったから泊められない」と門前払いを食らった翌日に覗いてみたら館主がボーリングの真っ最中だったのが今の源泉位置あたりだったと思います。
ちなみに日帰り入浴は８時～１６時、＠４００です。

炊事は山荘廊下沿いに２～３か所流しと無料２口コンロテーブルがあって、鍋少々、調理器具少々、食器は部屋に少々（箸は見かけた記憶なし）といった感じです。



冷蔵庫は１０６号室にはありました。電子レンジなし、食器洗い洗剤ありです。

食事に関しては宿の食事はないものの、実は道向かい・玄関から徒歩１５０ｍほどのところに朝７時前からやっている上野食堂という食堂があって、意外と便利だったりします。個人的にはラーメンが安くて美味いと密かに贔屓しているお店です。


そこそこ雪が積もってかなり寒い滞在でしたが、玄関前もレストハウス内もやたらみゃぁみゃぁと猫が多い、なんだか猫屋敷みたいなお宿で、チェックアウト日はお許しを頂いて１１頃までのんびりさせていただきました。




オフィシャルな情報に載っていない理由は聞きそびれましたが、良い湯なのに日帰り客は計２名、宿泊客は自分含め２人ともったいないこと甚だしいお宿です。
何を隠そう実はどれほどボロいかとビビリながら訪問したのですが、清潔とかきれいとかまでは言わないとしても、値段からすれば十二分に快適な、ある意味拍子抜けなお宿でした。
もっとも運営は老夫婦お２人に見えるし女将さんはあまり体調良くなさそうだし、そんなこともあってか電話も繋がりにくいし、この先事業承継が心配されるのです。
自分のつまらぬ杞憂であって欲しいし、今後益々のご発展を祈りたいと心から念じずにいられないお宿でした。