大沢温泉
東北(岩手県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
花巻 大沢温泉
≪2015年02月宿泊≫(1泊)
八幡平のいつもの宿に直行する前に、ちょっと花巻でワンバウンドしてみようか、ってな感じで1泊することにしました。
以前の宿泊でやはぎ(宿内の食事処)がどんなだか気になっていたのと、時節柄なのかオプション一切なしの最もシンプルな自炊湯治コースが売りに出ていなかったこともあり、夕食にひっつみ汁セットが付くコース(部屋+布団+夕食で¥3900に入湯税+¥70)をお試ししてみることにしました。
やはぎ定食付きというもう少しグレードの高いコースもありましたが、ハードに昼食を取る予定だしちょっとした食べ物を持ち込む企みもあって食べきれないように思え、軽めの夕食付きにしたのです。
なにかと仕込みをして15時チェックインのところ宿の玄関をくぐったのは14時半でした。
帳場はしっかりした感じの若い女性が仕切っていますが、かなり頼りない感じの番頭さんとやらにかなり帳場で待たされた後に部屋に案内いただきました。
部屋は中館の10号室、玄関からやはぎの前を通過した共同炊事場の前の客室棟2階川側です。
川に面していると言っても廊下を介してではありますけど。
下足は中館に入ったところすぐに下足箱があって、そこまで持っていって収納するよう指示されました。
以前宿泊した部屋とは違って室内にコンロスペースがあるちょっと変わった作りの8畳客室、たぶん3人部屋です。
廊下との仕切りは下半分がガラスの入った障子だけで、内側には鍵金具はあるものの外鍵はかかりません。
ちなみに鍵金具があるとはいえ、障子の紙を破けばいくらでも室外から開けることができちゃいます。
8畳間のうち1畳ほどが板張りになっていて冷蔵庫と、さらに廊下側に金属板を敷いてその上にコインコンロが設置されており、冷蔵庫の奥側には食器棚があって、長期滞在の際に食器や何やかやを収納できます。
キッチンコーナー上空は造りつけの棚があって多少の荷物を置けますが、それほど強度があるようには見えませんでした。
冷蔵庫の上には25インチくらいの6チャンネル映る無料デジタルテレビがあり、お湯のポットとお茶セットがあります。
基本的に室内設備はこれだけで、入室時にコタツとファンヒータは必要かどうか問われ、コタツはいるけどファンヒータは必要ないというと回収されていきました。どちらも宿泊オプションになっていて、使うといったら遺留されてその分追加チャージがかかり、ちなみにコタツは1泊税込¥324になります。
布団は木綿掛け布団、くたびれた羽毛掛け布団、毛布がすでに搬入されていました。
アメニティは一切オプションです。
コンセントはキッチンコーナーに冷蔵庫とテレビ用で2口×1、反対の壁にコタツ(とファンヒータ)用で2口×1です。
「電気の容量に限度がありますので電気器具ご使用の場合は帳場にお申し出ください」と部屋に掲示がありますが、電気の容量というより電気代徴収のためなのでしょう。けど、今回は電気を使うかどうか問われませんでしたけど。
室内には食器類はありませんが、共同炊事場にストックが多量にあります。
共同炊事場には湯・水蛇口8基、コインコンロ10基くらい、鍋薬缶、食器、調理用具等あり、食器洗い洗剤・スポンジもありますが包丁は見当たりませんでした。電子レンジもオーブントースターもありますが宿泊者用炊飯器は見当たりませんでした。
ご飯が欲しければ10円で7~8分使えるコインコンロで鍋炊きするか、やはぎの隣でご飯を買うか、電気代を払うつもりで炊飯器を持ってくるか、ということなのでしょう。
ちなみにお湯は帳場に行けばいつでも湧きたてのポットをもらえます。
ほかに別棟に小規模な共用炊事場が2か所あるようですが、上館・中館の計30室ほどの宿泊者はこの炊事場を使うようで、ピーク時はそれなりに込みそうです、ってか団体のおばちゃんたちが人の迷惑気にもせず我が物顔で占領していました。
コインランドリーもあるようで長期滞在もできそうです。
風呂は自炊部宿泊の場合4か所(女性専用露天風呂がさらに1箇所)を利用できますが、源泉はすべてアルカリ単純泉の大沢の湯なようです。
山水閣側にある豊沢の湯は一番施設充実しており夏期は窓が開いて半露天になる男女別の湯で、シャワー付き混合栓が5基ほど、シャンプー・ボディーソープありです。
自炊部中央の男女別内湯が薬師の湯で、熱めと温めの変形浴槽があり、湯と水の蛇口が3セットほどとシャンプー・ボディーソープありです。
川を渡って菊水館にある木造男女別内湯が南部の湯で、シャワー付き混合栓が3基、夏場は半露天になる構造に見えシャンプー・ボディーソープありです。
自炊部の一番奥にあるのが有名な大露天・大沢の湯で、洗い場なし、安全上の理由か深夜は入浴できず、女性専用時間帯が設けられています。
宿泊翌朝に、どういうわけか大沢の湯の臨時大掃除が入って8時半から昼すぎまでシャットアウトになりました。
たまたま8時前にそれを察知したのでさっさと朝風呂に入り事なきを得ましたが、そういうことってチェックインの時に説明すべきだろうと思うんですがねぇ。
大掃除の館内放送があったのは8時過ぎで、自分はきっと入浴が殺到して他の湯が好くだろうとにらみ、そのすぐ後に大沢の湯を出て逆を張って薬師の湯を貸し切りで楽しみました。
いずれもおおむね41℃~43℃くらいの温度でした。
自分は着日には14時半に宿に着いて16時半までに4か所の湯をハシゴし、湯疲れというよりあわただしくて少し疲れてしまいました。
明くる朝も一通り巡回して、今回の訪問では都合8入湯でしたが、アルカリ単純泉なのでそれほどの湯疲れにはなりません。
今回の宿泊は夕食にやはぎを利用したのですが、やはぎで食事したのではなく取りに行って自分自身で客室にテイクアウトして晩酌しながら食べました。
やはぎには飲み物食べ物の持ち込みは禁止なので好みの飲料を飲みながら食べることができず、お願いして部屋にデリバリーしていただけるものの配達料¥50がかかります。
というわけで部屋で、持ち込んだ夜来香の餃子もつまみながら晩酌しつつ、ひっつみ定食を食べました。
テイクアウトする時間をチェックインの時に伝えておけば、だいたいちゃんと用意していただけるみたいです。
一般的にはひっつみは、小麦粉をこねたものを手でちぎって汁で煮込んだ具だくさんの汁物なのですが、こちらのひっつみは直径7cm、厚さ4mmくらいの円盤形でした。大量生産に対応した形状なのでしょうか、キノコが相対的に多めに入っていてなかなか美味しかったですが、ひっつみのイメージからするとかなり具が少ないように感じます。
昼食の余韻が思いのほか残っているところにしっかり餃子も食べたものだから、いなりずしまでは食べきれませんでした。
ちなみに自室にテイクアウトした場合、食器は洗わなくていいから翌朝にやはぎに返却するルールになっています。
帳場の横にそこそこの規模の売店がありますが、土産物がやたら多くて自炊宿泊用の食材類はあまり取り扱っていないように見受けられました。
娑婆で仕入れてくるか、宿の送迎バスに同乗して買い出しに出かけるか、といったところでしょうか。
ちなみにヤクルトとかプリンとかヨーグルトとか、8時半頃に宿のおねぇさんが各部屋の前を巡回販売していて、結構繁盛しているようでした。大沢温泉、なかなか商売上手です。
知名度の高さゆえ日帰り入浴も多く宿泊も多数で、一人きりで静かに湯を満喫することはよほど運が良くなければほとんど不可能ではあります。
どの湯も同じアルカリ単純泉・加温加水循環なし・最低限塩素消毒する場合ありなので、良くも悪くも刺激のない大人しい湯ではあります。
まぁキツい硫黄泉や酸性泉にいつも入っている自分としては、焼肉定食やカツ丼や坦々麺を常食しているとたまに茶漬けを食べると美味しいのと似通った感覚があるのです。
たぶん2泊もすれば自分は飽きてしまうと思いますけど。