大沢温泉
東北(岩手県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
花巻 大沢温泉
≪2016年02月宿泊≫(1泊)
硫黄摂取したいけど八幡平まで行く余裕はなく、でもしばらくギリギリで体を回していたのでここは心身を緩和しポテンシャルを回復せねばなるまいということで、1泊リフレッシュすることにしました。
まぁ「いい旅いわておもてなし旅行券」(入手価格@3000で宿泊清算額面¥6000分相当)を消化したかった、という気持ちもあったわけで、今回はかねてから気になっていたやはぎ定食をお試しすることにしました。
夕食つき湯治宿泊コース(部屋+布団+夕食で¥5100に入湯税+¥70)をお試ししてみることにして、これにコタツ(税別¥300)と朝食(税別¥620)をオプション追加して精算額¥6163、旅行券プラス現金払い¥163という筋書きです。
15時チェックインのところ宿の玄関をくぐったのは14時半でした。
今回は玄関前も玄関前の坂の途中の駐車場も満車だったので車は坂を上がった県道わきの駐車場に停めましたが、考えてみれば玄関前や坂の途中の駐車場はご高齢だとかハンディキャップのあるお客さん専用にすれば良さそうなものですよね。
ご繁盛されているのか、館内の案内掲示が新調されていて少し垢ぬけた感じがして、でも館内は相変わらずレトロです。
ご予約のN川さまということで夕食つき湯治宿泊コース+オプションにコタツと朝食を押さえてチェックインし、朝食券2枚と夕食券1枚を受け取ってご案内いただいたのは上館3号でした。
部屋は共同炊事場前の階段を上がって左折して渡り廊下を過ぎたところ、下足は部屋前の下足箱に収容するルールで、暖房器具はコタツだけチョイスしたので室内にあったストーブは廊下に撤去されました。
部屋は床の間つき客室部畳敷き8畳と雪見障子で仕切られた板敷き2畳の濡れ縁に80リットルほどの冷蔵庫とコインガスコンロがある部屋です。
位置的には濡れ縁の下に菊水館に通じる出入り口があるその真上あたりで、雪見障子をあけると豊沢川と菊水館が目前のなかなかいい部屋です。ほぼ直前予約だたので、こじんまりした部屋が先にうまった残り福でしょうか。
室内設備は床の間に6チャンネル映る25インチくらいの無料デジタルテレビ、食器棚、お茶セット、オプションのコタツ(1泊税別¥300)で、寝具はヘタッた羽毛掛け布団+毛布+硬めの敷布団、が2セットあって1セットが下ろしてありました。アメニティは一切ありませんが、自炊湯治だし必要ないでしょう。
廊下との仕切りも雪見障子、内側には鍵金具はあるものの外鍵はなく、鍵金具をかけてもその気になれば障子の紙を破いて侵入できてしまいます。
コンセントはテレビ・コタツ用ということで床の間に三又ソケットがひとつ刺さった2口×1、濡れ縁に冷蔵庫用で2口×1です。
「電気の容量に限度がありますので電気器具ご使用の場合は帳場にお申し出ください」という部屋掲示は、電気の容量というより電気代徴収のためと思えます。
驚いたことに部屋でWiFiが使えるようになっていて、すごく便利になった気がしてよせばいいのにFBに励んでしまいました。
室内には食器類はありませんが、共同炊事場にストックが多量にあります。
共同炊事場には湯・水蛇口8基、コインコンロ10基くらい、鍋薬缶、食器、調理用具等あり、食器洗い洗剤・スポンジもありますが包丁は見当たりませんでした。電子レンジもオーブントースターもありますが宿泊者用炊飯器は見当たりませんでした。
ご飯が欲しければ10円で7~8分使えるコインコンロで鍋炊きするか、やはぎの販売窓口で所定の時刻にご飯を買うか、電気代を払うつもりで炊飯器を持ってくるか、娑婆でおにぎりか何かを仕込んでくるかの4択です。
ちなみにお湯は帳場に行けばいつでも沸かしたてのポットをもらえます。
ほかに別棟に小規模な共用炊事場が2か所あるようですが、ピーク時は宿の規模がデカいのでそれなりに混みそうな印象です。
コインランドリーもあるようで長期滞在もできるしマッサージコーナーもありました。
風呂は自炊部宿泊の場合4か所(女性専用露天風呂がさらに1箇所)を利用できますが、源泉はすべてアルカリ単純泉の大沢の湯1本なようです。
山水閣側にある豊沢の湯は一番施設充実して湯治ノービス向けで夏期は窓が開いて半露天になる男女別の湯で、シャワーつき混合栓が5基ほど、シャンプー・ボディーソープありです。
自炊部中央の男女別内湯が薬師の湯で、熱めと温めの変形浴槽があり、湯と水の蛇口が3セットほどとシャンプー・ボディーソープありです。
ちなみにかわべの湯という女性専用露天風呂もあるようです。
川を渡って菊水館にある木造男女別内湯が南部の湯で、シャワー付き混合栓が3基、夏場は半露天になる構造に見えシャンプー・ボディーソープありです。
自炊部の一番奥にあるのが有名な大露天・大沢の湯で、洗い場なし、安全上の理由か深夜は入浴できず、女性専用時間帯が設けられています。
大沢の湯は今回は43℃くらい、ほかは41~42℃で適温で、ウィークデーで入浴客が少ないせいかアル単のヌルツル感はまずまずでした。
ただ非常に残念だったことは、豊沢の湯に入っている間に脱衣所に置いていた衣服を根こそぎ盗まれたことです。
貴重品は鍵つき貴重品入れに入れてて実害なかったものの、長年湯治生活を共にしてボロボロになったいわば由緒正しき湯治の制服についにお別れすることとなりました。
まさか特殊な趣味のヒトではあるまいし、下着まで持っていかなくてもよさそうなものですが。
自分が温泉で被害にあったのは十五年ほど前に福島の日帰り湯で小銭入れを抜かれて以来で、ある意味普通の人の数百年分くらい温泉にいってるので生起確率としては限りなくゼロであるとはいえ、どこの馬の骨かわからない不特定多数が来る温泉場には、稀にそういうリスクもあると考えておくのが賢明かもしれませんね。
西川家はこういう時は、ご主人がとんでもない災難に見舞われるところを衣服や持ち物が身代わりになってくれたのだと解釈する伝統なので、帳場から浴衣と丹前も貸してもらえたし以降はそれで過ごせたので良しとしておきました。
さてさて気を取り直して今回の宿泊の重要なミッションは、かねてから気がかりだったやはぎ定食の正体を白日のもとに曝す事でした。
やはぎには飲み物食べ物の持ち込みは禁止なので好みの飲料を飲みながら食べることができず、お願いして部屋にデリバリーしていただけるものの配達料¥50がかかるので、ほぼ自動的にセルフテイクアウトを行う選択になります。
テイクアウトする時間をチェックインの時に伝えておけばちゃんと用意していただけるみたいなので、やはぎの夕方の営業時間は17時半から開始だからチェックインの際に17時半に自室にセルフテイクアウトすることを伝えておき、ぴったりにやはぎに突入してうやうやしく部屋に持ち帰りました。
料理構成としては汁物(ミニひっつみ)、茶碗蒸し、天ぷら、小鉢×2、刺身、ご飯、デザートといったところです。
ミニひっつみは自信がありそうなだけあってなかなかいい味付けでした。茶碗蒸しは普通、刺身も普通、天ぷらも普通で天つゆの味は濃い目・輪郭はっきりでした。
小鉢×2はちゃんと美味くて、特に大豆煮物がほっこり美味かったのですが、コンビニおにぎり1.5個ほどのご飯はダラダラ飲み食いしていたら冷めてしまたこともあり残念な感じになりました。
この寒い土地でパイナップルが八分の一も出るとは思わなかったです。
ちなみに自室にテイクアウトした場合、食器は洗わなくていいから翌朝にやはぎに返却するルールになっています。
それから食事なしの素泊まりでも、夕食なら予約なしでやはぎで食べることができます。
今回は宿泊精算額を¥6000以上にするため珍しく朝食もお願いしてみることにして、帳場で事前予約して宿泊費込み扱いで朝食券をもらいましたが、普通は宿泊費別で予約時現金払いみたいです。
やはぎの朝食営業は7時半からなのでジャストに突入、すでに膳が予約数分だけテーブルに配置されているひとつに座ります。
ご飯はコンビニおにぎり1.5個分ほど、税別¥620としては正直コストパフォーマンスはイマイチですが、予約しておかないとありつくことはできません。
料理の中では切干大根は美味かったものの、温泉卵も納豆も食べたければ別料金お支払いです。
朝食後部屋でくつろいでいると、ヤクルトとかヨーグルトとかを売り歩くお兄さんの声が廊下を巡回していました。大沢温泉、相変わらず商売上手だから、もしかすると滞在中の購入見込み客の人口構成によってお兄さんになったりお嬢さんになったりしてたりするんじゃないかと、思ってしまいましたが考えすぎでしょうか。
知名度の高さゆえ日帰り入浴も多く宿泊者も多数多彩で無論たまにはドロボーもいて、一人きりで静かに安らかに湯を満喫するには少し娑婆過ぎるかもしれないので、そういう好みであれば鄙びた無名な、常連客だけが来るような湯宿のほうがよろしいでしょう。
まぁドロボーに関してはくれぐれもお宿に責任がないことは間違いないのですけど。