大深温泉
東北(秋田県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
仙北 大深温泉
≪2016年06月宿泊≫(1泊)
岩手県北とか裏八幡平あたりには冬期休業する湯治宿が少なくなくて、寒さが緩むと新年のあいさつにハシゴ湯治しないといけないキモチが沸々と湧きあがってくるのです。
今回はそんな訳で恒例北東北の山奥温泉ツアーということで、しばらくご無沙汰しているとどうにも行きたくて仕方なくなる大深温泉に、宿泊料@2000+入湯税¥150の¥2150で1泊です。
こちらは宿泊客は食材持ち込みの完全自炊、老若男女を問わず金持ちも貧乏人もオンドル大部屋で仕切りもなく雑魚寝するのがしきたりです。
調理器具や調理熱源などは有料レンタルもあるものの基本持ち込み、レンタル毛布はあるけどレンタル敷布団はなし、冷蔵庫なんか当然なしという、ある意味近代以前の宿で、その割にFOMA電波はしっかり届いているので幸か不幸か社会から行方不明になる懸念はこれっぽっちもありません。食べ物は最低限だけど管理棟でカップめんが購入でき、でもこんな山奥まで湯治に来てカップ麺なんか金輪際喰いたくないという湯治場です。
水だけは豊富なのでトイレは不思議と水洗だけどまさに湯治の起源を彷彿とさせる湯治場で、自分は妙に惹かれてしまい春と秋には訪れずにいられなくなっています。
ちなみに夏は標高が高いとはいえそれでなくても暑いのにオンドルに入る気になれないしブヨも出ると思われるので、自分にとって訪問最適期は自動的に春秋になります。
そうはいっても実は自分はゴツゴツしている所では寝られない性分なうえに電気毛布や電気敷布は暑苦しくて嫌いで、ほんとのところは就寝場所としてのオンドルは春秋でも猛烈に苦手なのです。
赤の他人との雑魚寝はすでに苦にはならないのですが、自分がオンドルで耐えられるのはかろうじて1泊、毎回いろいろと滞在環境を工夫しながらの訪問になります。
今回は昼間の田沢湖近辺はかなり暑かったものの、13時過ぎ到着して16℃くらいと快適な宿入りでした。
管理人さんに新旧どっちで寝てもいいといわれ旧のほうを覗いたら個人的にあまり相性の良くないおじさんが滞在している雰囲気だったので、温度が高めでキモチ苦手な新オンドル棟の右奥に落ち着きました。
2014年夏に新築された新オンドル棟は築当時だと中央部床温度で39℃ほどもあったのですが、ちょっと落ち着いて今回で33℃ほど、半袖Tシャツで十分過ごせる滞在環境です。
部屋の構造は新旧とも同じで、中央通路を挟んで両側に幅2.5mほどの滞在スペースが20mほど広がっていて、通路両側の柱にそれぞれ2口コンセントが設置されています。
傾向的に建物一番奥のあたりの床温度がいちばん低いので暑がりは奥寄りの柱の前に、寒がりは中央近くの柱の前に陣取ることになるのですが、今回新棟には3~4人、旧棟に2~3人ほどの滞在客がいて、どうも皆さんタケノコハンター風の装備に見受けられます。
ともあれ早速銀シートと最近入手した新兵器のスポンジシートを搬入し、本日のお家を設営し終わり念願の入浴にこぎつけたのは14時頃でした。
今回はどういうわけか湯量調整の煉瓦は見当たらずフルに給湯されており、給水は止まっていたので46℃くらいの湯温でした。
やむを得ず泣く泣くバリバリ加水して15時頃まで入湯したのですが、浴槽には大量の埃の塊のような湯の花の溜まり具合で数日間湯を落としていないような印象で、でも毎度ながら少し白濁した硫黄泉で柔らかで上質な入り心地です。
ちなみに蛇口もシャワーもシャンプーも石鹸もない湯治湯です。
食材は密閉容器に食材を入れ源泉槽に沈めて30~60分放置すればしっかり温まるので、1泊やそこらならコンロなどなしでも何とかなりますが、源泉槽内で容器が散逸したりしないように、耐熱性の布袋か網袋があるとベターです
。
水場棟に引かれた湧水が4~5℃くらいでとてもうまい水なので飲料水には困りませんが、缶ビールと缶チューハイに限ってはキンキン好みなのでちゃんと多量の氷を持参するのが自分のお約束だったりします。
少し加温された水が出ている外の流しは食器洗い洗剤も完備なので、食器などはこちらで洗います。
今夜の新オンドル棟滞在者は、盛岡で銭湯を経営していたというじっちゃの家族、80才過ぎのリタイヤしたおじさんの自分入れて都合5人でしたが、夕方になって2組各1人が入ってきて結構にぎやかな雰囲気になりました。
夕方近くになると予約レス宿泊者の駆け込みが少なくないようで、よってオンドル棟内で良いポジションをとりたければ16時までにはチェックインして縄張りを確保したいところです。
17時過ぎくらいには夕食を食べはじめるのがティピカル&トラディショナルな湯治場のルールというわけで、夕食の後片付けは19時前には終わったのですが、その後速攻で寝落ちしてしまいました。
若干の晩酌(ビール500+缶チューハイ500+日本酒ほんの少々)を飲んで寝る前にも夜間もそれなり水を飲んだのに朝まで尿意を催さず仕舞いで、つまり寝ている間にどれだけ汗をかいたんだろうかと思うと少々ビビってしまいます。
意識的に水分を取って脱水症状にならないように心掛けるのが肝要ですね。
翌朝は旧オンドル棟では未明から例の常連のおじさんが結構な声量でにぎやかにしていて、新オンドル棟に居を構えた判断が図星だったようでした。
朝風呂は42℃ほどと適温だったので、先客が山菜取りの話題に長々と花を咲かせるなか1時間ほど湯を満喫しました。
当地も結構な山の中でたぶん夏場はブヨが出そうな気がするので、再訪は秋口になるでしょう。
仙台からだとなかなか遠くて大変だし自分にとっては寝苦しい滞在地なんですけど、それでも行かずにいられない湯治場なのです。