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中の湯
東北(福島県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
猪苗代 横向温泉

≪2017年04月宿泊≫(1泊)

先日のプチ湯治からわずか一か月でまたしても目はショボショボ首肩ゴキゴキ化して現実逃避願望がMAXになってしまい、震災の年の秋以来の当宿の湯になんだか無性に入りたくなったのです。
ここしばらく同じ湯治動機が続いていますがまぎれもない事実なんです(汗)

宿泊予約電話を入れたのは2日ほど前、どうも近頃一見さんはお断りに方針転換したらしい情報は掴んでいて、電話して宿泊を申し入れたら「過去泊ったことない人は泊めてあげない」と結構ぶっきらぼうな女将さんの応答で、以前宿泊したことはあって勝手はわかっていることを説明したら不承不承っぽい感じで宿泊OKとなりました。
とはいえ特段、過去宿泊した証拠を求められるわけでも秘密の合言葉を求められる訳でもなかったですけどね。

今回の宿泊料は結果的に精算したら宿泊料@3300に+入湯税¥150+入浴料¥150+暖房費¥700+消費税¥260の都合¥4560でした。

10月~5月の暖房料加算はまぁしかたないとして、正直この老朽ふうの宿で宿泊料のほかに入浴料が要るのはなんだかなぁ、という気が気がしなくもないです。

当日は朝から安全運転で福島に入り、福島南あたりで所用を片付けて奥土湯にたどり着いたのは13時半くらいでした。
土湯トンネルを通り抜けて県道39号線分岐に車を進めて左折ほどなく、うそかまことか温泉湯治療養発祥の旅館の看板を過ぎデコボコ砂利道を200mほどで到着です。
福島 中の湯 中の湯看板

4月に入ったばかりの当日は娑婆では16℃ほどでしたが現地は2~3℃、やはり山奥はまだまだ冬なのです。
ちなみにかつて敷地入り口に立っていた「頭が良くなる霊泉」の看板は撤去したのか、今回は見当たりませんでした。
福島 中の湯 中の湯ゲート

前を走ってた車が宿を見るなりビビッて踵を返して立ち去って行ったのを見て腹を抱えて独り笑いしながら、マニア受けする超年季ものの宿の玄関を入ったのは14時、ちょうどチェックインタイムの到着でした。
福島 中の湯 退却
福島 中の湯

前回お世話になったのは忘れもしない震災の年の秋、余震が来たら倒壊するに違いないと心底ビビりながらお世話になった記憶が鮮やかによみがえるものの、嗚呼あれから早や6年、ますますboroさに磨きがかかって見えます。
福島 中の湯
福島 中の湯 玄関

震災前に補修する前はマジで屋根は腐食して曲がっていたしもっとたいへんな雰囲気だったのですが、いずれにせよ押しも押されぬ築90年のお宿なのです。
福島 中の湯 営業案内

正確にはこのままの状態で宿を残せという先代の遺言を守っているのだそうで、実は建物の躯体を補修したり補強交換してはいるけど古い内外装をはがして取っておき仕上げにそれを貼り直しているのだそうで、見た目はかなり凄い築90年の建物ながら見た目よりはしっかりしているというニュアンスの女将さんのお話でした。
福島 中の湯 玄関
福島 中の湯 玄関

玄関を入ると上り框に、源泉温度が下がってるから合わない人はマウント磐梯へとの掲示があって、ヌル湯好きな自分としてはちょっと期待感が膨らみます。
福島 中の湯 入浴案内

帳場にいた女将さんにご案内頂いたのは、玄関左手浴場向いの階段を2階に上がって5号客室、かろうじて障子に内鍵があって、変形10畳のそこそこ広さがあって居心地良さそうな部屋でした。
福島 中の湯 上り階段
福島 中の湯 2階廊下
福島 中の湯 5号客室

前回の滞在では玄関右手帳場の先の階段を上がって、いちおう当宿では新館にあたる建物の一室にお世話になったのですが、今回は玄関の真上の部屋です。

室内設備は6チャンネル映る19インチくらいのテレビ、ファンヒータ、コタツ、お茶セット、沸騰ポット、冷蔵庫、食器入りの食器棚、籐椅子です。
福島 中の湯 5号客室内
福島 中の湯 5号客室内
福島 中の湯 5号客室前

前回の部屋はこんなに設備は無く当宿ではこの部屋は(これでも)かなりハイクラスな部屋かもしれなくて、宿泊料請求がかさんだらどうしようかと心配してしまいました。
福島 中の湯 5号客室内
福島 中の湯 5号客室内
福島 中の湯 5号客室内

宿泊料は館内掲示によっては@3000だったり@3300だったりよくわからないんだけど、精算したら暖房料以外のオプションチャージはなかったので、今回はテレビや冷蔵庫代はサービスだったようです。結局使わずじまいだったですけど。
福島 中の湯 料金表
福島 中の湯 料金表

6セットほど押し入れに入っていた木綿掛け布団・毛布・マットレス・木綿敷き布団ははっきりいってかなり湿気ていて、持参の布団乾燥機でしっかり乾燥したから良いようなもののそのままだとちょっと寝苦しいか夜中寒いに違いないと思います。
前回秋口に滞在した時はそれほど湿気は感じなかったので、早春頃だと湿気てるとか、季節要因もあるのかもしれません。

夕方になって夜は寒いからと女将さんから電気敷き布の差し入れがあり、でも電気敷布や電気毛布は妙に熱くて苦手なので掛け布団2枚使いにしてその間に挟んで使ったものの、結局夜中にキモチ悪くなって撤去しました。

アメニティはなにも無いものの、お着き菓子のいい湯だなと梅抹茶がありました。
福島 中の湯 お着き菓子

コンセントはテレビ脇に2口が2基あって各々三又ソケットが刺さっていて、TVとファンヒータと冷蔵庫とコタツに給電して残り4口で布団乾燥機とか携帯充電機とか使う余裕はあります。

部屋奥側の窓は外にプラスチック波板が打ちつけてあってカーテンつきとはいえシングルガラス、ほぼ外気温の廊下と障子で仕切られているだけなので室内もほぼ外気温とイコールです。ちなみに朝は廊下の窓は凍っていたし室内もかなりの冷え具合で、結局4月とはいえ滞在中ずっとダウンジャケットを着たままで過ごしました。
福島 中の湯 5号室奥の窓
福島 中の湯 5号室障子

お聞きすれば新館は季節がら寒すぎて滞在に堪えないので冬場の宿泊はこちら、夏場になったら新館を供用するということなようで、新館に上がる階段は今回はカーテンで閉鎖されていて、見物にすら行けませんでした。
福島 中の湯 新館階段上り口

宿泊予約の時はかなりぶっきらぼうな印象だったけど訪問したら意外と愛想の良い女将さんで、せっかくなのでお聞きしたら、一見さんは湯治の何たるかからこの宿の説明に至るまでいちいち細々教えなければならないので、それが面倒でうっとおしいから受け入れしないのだ、とのことでした。
そうは言いながら、宿帳をチラ見したら月に20組くらいと我が目を疑うほど泊まり客が続いていて、この世にはモノ好きが多いことを如実に示唆してくれます。
福島 中の湯 宿帳

この宿に1月とか2月に宿泊しているひともいるようで、モノ好きを通り越してチャレンジャーちゅうか命知らずだと思います。

さてそれはそうとチェックインして寝床を設営し布団乾燥機を稼働させたらなにはともあれ、という感じで風呂に突入します。
福島 中の湯 男性浴室降り口
福島 中の湯 男性浴室降り口
福島 中の湯 入浴案内

風呂は玄関左手、壊れた牛乳販売機脇の階段を下った先にあり、冬季は理由未確認ながら入浴時間7時から23時に制限されていました。
脱衣所はなかなか広くちょっと昔の銭湯みたいないい雰囲気で、意外といってなナンなんですがドライヤがあります。
福島 中の湯 男性脱衣所
福島 中の湯 旧泉質表示

男性浴槽は2mほどの正方形×2が隣り合わせで、温度も湯の華の量も浴感も異なっていて別源泉のハズなんですが、泉質表示は1枚しか見当たりませんでした。
福島 中の湯 混浴室

脱衣所からみて右は36℃ほどで給湯量毎分10~15リットル、鉄の湯の華が漂う霊泉と言われる湯で、向って左は37~38℃で湯の華はほとんどない透明湯でいずれも炭酸鉄系の激マズな味がします。
福島 中の湯 混浴室

女性風呂は高温の湯が給湯されているようで、両浴室の間には霊泉に入りにくる女性のための扉が設けられています。
前回訪問の際はもっと湯温は高かったけど、夏場は湯温は高めになるのだそうです。

屋外には手作りだという露天風呂が2槽あるはずなのですが、今回窓の外は雪の壁で封鎖されてるというか断絶されていて外に出ることはできませんでした。
露天風呂はゴールデンウィーク明けくらいから供用開始するのだそうでリベンジ心を掻き立てられます。
浴室内は結構床がでこぼこで、うっかり蹴つまづいて薬指が無くなったかと思うほど痛い思いをしましたが、その後霊泉で2時間寝たらさすが霊泉だけに痛みもどこかに行ってしまいました。

なおシャンプーやボディーソープの常備は無いのですが、朽ち果てているように見える浴槽脇の蛇口をひねったら温かいほうの源泉が出るのが確認できたので、シャワーこそないけど浴槽の湯で髪を洗うのがイヤな人でもギリギリOKでしょう。

食事の用意は廊下窓際に並んだ炊事施設を使います。
福島 中の湯 炊事場
福島 中の湯 炊事場

貸し出し炊飯器はあるし、電子レンジ、オーブントースター、コンロ多数、鍋釜薬缶多数、調理器具もそこそこで食器も多数で不自由ないものの、共用冷蔵庫は見当たりませんでした。
福島 中の湯 炊事場
福島 中の湯 炊事場
福島 中の湯 利用心得

今回の夕食では肉入り野菜炒めと刺身の切れっ端、それに餃子王国福島に敬意を表して地元でお買い上げしたチルドギョウザを焼いて晩酌にしました。
福島 中の湯 餃子
福島 中の湯 夕食

食事していると女将さんがどういうわけか沢庵と蕗の佃煮を差し入れてくれて、それだけでかなり酒が進んでしまいましたね。
福島 中の湯 差し入れ

洗濯機は風呂場脇の洗面所にあり、乾燥機はブレーカーが落ちるから気をつけて使うよう注意書きがあるので宿泊者利用OKみたいです。
福島 中の湯 洗面所

トイレはいちおう男女別というか入り口は別々で水洗+和式ですが、なぜか中で男女がつながっています。
福島 中の湯 トイレ

トイレ手前のスペースが日帰り休憩コーナーになっているようで雑誌とか昭和時代の宿泊者名簿とかが置いてあります。
福島 中の湯 休憩コーナー

なかなかイロイロ面白い宿ながら、宿泊したことがある人しか泊れないのが少し勿体ないのです(笑)

ゴミの分別とか使ったものの原状復帰とか、館内掲示はいろいろあるので良く読んで郷に従うことが肝心です。
ボロいが掃除はそれなり行き届いていてさほどバッチくはない宿で、FOMAはバリ3です。

かつて敷地入り口に看板があった「頭の良くなる霊泉」のキャッチコピーのいわれを女将さんにお聞きしたら、別に足し算が早く正確になったりするわけではなく脳卒中とかクモ膜下出血で後遺症が残った時にこちらで湯治すると良くなる、という効能を表現しているとのことで、先代の爺様も実際に発病後は当湯でリハビリしたんだそうです。
福島 中の湯 案内掲示

この近辺は夏場でも蚊やブヨは少なくて蛾はいるが電子蚊取り線香を貸し出すから夏場でも快適なのだそうで、確かに今回もカメムシのお出迎えは1匹だけだったので本当かも知れません。

過去宿泊した人しか宿泊できないというかなりとっつきにくくて思いっきり客を選ぶ宿なのですが、改めて滞在してみると珍味系の宿というか普通の宿では物足らなくなった温泉マニアの好奇心を嫌でもくすぐる、ナニゲにリピートしたくなるお宿なのです。
くれぐれもノービスな湯治ファンには敷居が高いし未体験者は受け入れしない宿ですけど。

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