大深温泉
東北(秋田県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
仙北 大深温泉
≪2017年06月宿泊≫(1泊)
いろいろ心労心痛が穏やかならざる昨今、ちょっと生命力の回復というかエネルギー補充のため26℃の下界から八幡平にやってきました。
頂上の気温は14℃、天気晴朗快適にして諸般のドロドロ事情をひと時忘れられるリフレッシュな別世界といってよいでしょう。
車中のおばちゃんが野生のキツネに餌をやってるのとか見ながら頂上を軽快に走り抜け、半年以上お久しぶりな大深にたどりついたのは予定到着予定時間を1時間遅れた14時です。
仙台から八幡平まで種々の遅延要因を読み間違ったワケでやむを得ない仕儀で、今夜は一泊@2000+入湯税¥150のささやかな現実逃避になります。
車を駐車場に入れてさっそく事務所にいくと今日は新旧オンドルあわせて十数人の泊まりだとか結構なご繁盛のご様子です。
室温的には新オンドルは床上温度は40℃近そうな高温らしくて寝辛そうだし、ちょっとにぎやかな常連さんがいるのもどうかなぁとも思いつつ今回は旧オンドルに入ることにしました。
ちなみに両棟とも棟端は滞在者がいて、やむなく少し温度の高めな建物中央あたりに居を構えたのが14時過ぎです。
今夜のおうちを設営したらまずはなにはともあれ風呂、41℃くらい少し白濁の適温で1時間ほど、半年ぶりの大深の湯を深く静かに愛でたのです。
2.5メートル×2.5メートルくらいの浴槽だけの湯ですが、何度来ても温泉湯治の起源に思いをはせることができる地味な良い湯です。
一昨年頃までは湯口の樋に煉瓦ブロックが置いてあってそれで湯をせき止めて湯温を調整する仕組みだったけど、去年あたりから煉瓦が無くなって加水によって温度を調整する仕組みになっていました。
洗髪等したくてもシャワーはおろか湯水蛇口もなくて、石鹸やシャンプーもないほんとの湯治湯ですが、今年は男女浴室の仕切り壁板が貼りかえられていました。
一旦上がって夕食の下準備をしてから再度16時頃から入浴したら水の出具合が少し悪くて43℃近くになっていて、17時頃に上がる時には45℃近くになりました。
そのころ女性湯はもっと激熱だったのだそうで、聞けば水の提供装置が壊れて給水が不調になったとかで宿泊者全員大ブーイング状態で、夕方に修理業者が来たものの完全復調しきれず、水洗トイレも各自水を汲んでセルフで流す手動水洗体制になってしまいました。
まぁ一日目の入浴の儀はつつがなく終わったし、トイレ水洗が人力だとかその程度の些細なことは自分にはノープロブレムです(笑)
別系統なのか、食器などの洗い場は不都合ないし水場の飲料水も影響ないようでした。
さて今回の宿泊における重要ミッションは新オンドル脇の地獄蒸し箱の使い勝手を見極めることでした。
これまでの宿泊ではカセットコンロを持ってくるのが面倒で、密閉容器に入れた調理済み食材を湯屋脇にある源泉槽に沈めてあたためて食べていたのですが、前回地獄蒸し箱を発見したのでそれを使うのが楽しみだったのです。
けれど宿泊予約時に何度くらいまで温度が上がるか聞いたものの回答が得られず、半生の料理はさすがに食いたくもないのでやむなく今回は安全を期して加熱調理済み・温めたら食べられる食材を中心に夕食を構成したのでした。
当宿は鍋釜食器調理器具も調理用加熱設備も、一部有料レンタルがあるだけの自炊宿です。
オンドル湯治でエビグラタンを食べるやつはそう多くはないだろうと思うのですがこれはこれで熱々でなかなか美味かったし、蒸し野菜なら半生でも食べられると思っていたけどしっかり蒸しあがりました。
ちなみに肝心の地獄蒸しは結構高温なようで、生卵は1時間でみごとに硬茹で卵になったし秋刀魚の蒲焼のパッケージに貼られた値引きシールはかなり黒変していたし、蒸気が直撃する位置であれば少なくとも75℃以上であることは実証できました。
相手は自然だからいつも必ず75℃をクリアするかどうかは何とも言えずご利用はあくまでも自己責任ということになりますが、食品衛生法の肉の加熱調理基準はクリアできそうなので次回こそ本格地獄蒸し料理にチャレンジしたいものです。
ちなみにローストビーフなど特定加熱食肉製品の加熱調理基準は肉全体(中心部温度)で60℃×12分以上、その他一般の加熱食肉製品では中心部温度で60℃×30分加熱というのが衛生的な加熱調理基準なのだそうです。
新オンドルでは今年は飛び入りウェルカムな宿泊者有志の宴会が毎晩開催されているようで、19時頃から新オンドルで盛んに盛り上がっていましたが、静かに過ごしたい湯治者にはうるさいだけだし、田舎者のオヤジやオカンは大きい声で何回も同じことを言うので耳につくし、周囲に気づかいできない客が来はじめていてここもそろそろちょっとなぁという感じもしなくもないのです。
とはいえ消灯21時だから湯疲れしてることもありすぐに寝落ちました。普段だと夜半に目覚めたらその後気持ちよく眠れないことも少なくないのだけど、寝心地良くないのでしばしば目覚めはするものの結構よく眠れました、
翌朝は4時過ぎから室内の爺婆の話す声で目が覚めてしまったけど、まぁまぁ健康的な一夜といえるでしょう。
同室者たちの話し声に覚醒を強制されてやむなく朝5時半に風呂に行ったら清掃して湯が半分ほど溜まったところで、湯をせき止める煉瓦が復活しており湯温は41℃くらいと、加水量は完全復旧してはいなかったもののかなりいい塩梅でした。
さすが山の上だけあってチェックアウトするときで10℃だったからおそらく朝は6月ながら一桁前半の気温で、寒々したなかでやや低めの温度で入る朝風呂はやはり快感なのです。
今季は降雪がなければ10月第三日曜、雪が降り始めても第二日曜までは営業するのだそうで、なんとかもう一回泊まりに来たいものです。
むろん自分がここに滞在できる限度は寝心地の関係でせいぜい一泊なんですけど、地獄蒸しの実力の再調査はいやがうえにも知的好奇心を掻き立てるのです。