大深温泉
東北(秋田県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき
仙北 大深温泉
≪2018年06月宿泊≫(1泊)
相変わらず温泉三昧している余裕はこれっぽっちもないのですが、夏も近づきあちこち山奥の湯治宿が今年の営業を始めると、やはり挨拶しに行かずばなるまいと思ってしまうのです。
なにしろ、自称東北湯治文化の唯一のエバンジェリストですから。
こちらは宿泊料@2000、入湯税¥150の〆て¥2150のいまどき数少ないオンドル大部屋ザコ寝自炊オンリーの宿、飾りっけもマーケティング的ウケ狙いもこれっぽっちもない(誉めてます)まさに温泉湯治の起源を思わせる宿です。
昨年撤収するとき6月1日営業再開予定と聞いていたので、3日くらい前に電話を入れてみたけど反応がなく、やむを得ず経営母体の病院に問い合わせたら電話が故障してるのだとか。
そのご数日して宿に電話入れたらようやくつながって、宿泊可能なことがわかったので営業開始数日後に訪問する日程が確定したのでした。
ここまで一気に走ってくるほどの根性がないので、前夜は国見に泊まり、翌日の八幡平入りです。
日中はすでに20℃超えで田沢湖過ぎから玉川温泉あたりまで蝉が鳴く陽気の中、田沢湖からひた走って着宿したのは13時半頃、14℃と毎度ながら過ごしやすい湯治場です。
チェックインしたらおじさんから何もレンタルしないよね?って念押しされて、もうほぼ常連さんな感じで先にお勘定して、進入するは旧オンドル一番奥右側です。
オンドルは同じ規模の建屋が2棟あって、手前は数年前の新築で蒸気の通りが良くて暑苦しいので、自分は旧オンドル派なのです。
今日は土曜日、タケノコ取りシーズンながら新旧オンドルに各4人くらいの客の入りらしく、意外と空いているのは今シーズン営業開始して間がないからでしょうか。
荷物搬入しながら、どうも見覚えあるお客さんが1~2人いるのが確認できました。
泊り客数名はシーズン終わりのワラビだかゼンマイだかを採取してるようだけど、タケノコ亡者はまだここまで来ていない模様です。
我が家を設営したらともかく風呂、掃除換湯が行き届いているようで硫黄の湯の花がほのかに漂う透明湯ながら、46℃以上で当然大量加水して一時間ほど湯を愛でます。
根っからの湯治湯なので、シャワーはおろか蛇口も石鹸もシャンプーもありませんけど、それもまた味わいなのです。
オンドル脇にある地獄蒸しの様子を見るため、いったん上がって枝豆投入し、夕食の仕込み準備に入ります。
45分蒸し後の枝豆はどうもまだ少し生っぽい噛み応えで加熱の塩梅が気になるものの、調理時間を長めにすればなんとかなりそうだと判断し、今日の晩酌肴を投入して1時間半ほど再度入浴しました。
18時近くにドキ!ドキ!しながらアルミホイルを開けた今日の夕食料理は、蒸し餃子、蒸しガーリックサーモン、蒸し野菜です。
アルミホイルを開けるときは不安MAXになったけど結果オーライで良く出来上がっていて、でも先客によれば今朝は地獄蒸しは全然温度が上がらず使い物にならなかったとか。
むろん保険に缶詰は持ってきてはいたのですが、そうまでしてリスクをとる必要もないよなー、と改めて思って、あまり賭けるのはやめようと思ったのでした。
よってナマ物チャレンジは基本的に今回で終了とし、次回は温めれば食べられる加熱調理済み食材に転向する方向で考えたいと思います。
夕食はみんな勝手それぞれに取り掛かるのですが、なぜか意外と18時頃に一斉にスタートで、でも各々静かにいただくのです。
なんだかヤブ蚊が入りこんでいるのか、食事しながら何か所か痒くなりました。
お尻(オンドル)が暖かいからさほど気にならないけど、20時頃ともなるとさすが標高1100m、結構ひんやりしてて室内で20℃弱くらいになります。
いっぽう新オンドルでは酒盛りの宴たけなわで、旧オンドルにお家を構えて静かに過ごせてよかったと静寂感を味わいます。
旧オンドル側は全員静かに過ごすのが好みなようで、20時には屍累々状態でした。
今シーズン営業が始まって間がなくて、蒸気もまだ廻ってこないからかあまりオンドル温度は高くなく、銀シートとスポンジシートを介してほんのり温かいくらいで過ごしやすい一夜です。
もっとも明け方はさすが山中おそらく外気温が一桁前半まで下がった感じで、室内も結構ひんやりで毛布がなければ肌寒いくらいです。
もう1~2週間したら蒸気の出具合も調子が上がって、オンドル温度も上がってくるのかもしれません。
ほんのり温かいのは自分向きながら寝床が固いのはやはり自分にはつらくて、相当湯疲れしてたにもかかわらず夜中何十回も寝返りを打って、結局いつものことながらあまりよく眠れませんでした。
夜が早い代わりというかオンドルの朝は早くて、みなさん5時過ぎたら蘇生しはじめます。
まぁ窓にカーテンがないからまぶしくて否応なく起きるんだけど、朝方はホケキョーなど鳥の声、6時過ぎからはカッコウも鳴き始めて豊かな自然を思い知ります。
近頃は加水なし生粋の熱い源泉に我慢して入るなんて気力は無くなって、朝風呂も入浴者がいないのをこれ幸いに大量加水してナマヌルさを存分に楽しみました。
いつのころからか結構熱湯にもそれなり耐えられるようにはなってはいるのですが、でもやはりヌル湯が好きで出発までに2時間ほど入浴を楽しみました。
こちらは寝具なし、自炊機器・道具類なし、冷蔵庫も調理器具もなし、持ち込み家電の電源利用は有償で当然食事提供もなくて最低限のインスタント麺とかは販売していて、多少は有料器具レンタルはありっていう、シンプル極まりない宿です。
水場棟には湧水が引かれていて5℃くらい(?)で食材や飲み物を冷やすことは出来ますが、風呂上がりにキンキンに冷たいビールや缶チューハイが飲みたければ、娑婆のスーパーマーケットで保冷用のサービス氷を確保して来る必要があります。
飲用水は湧水だそうで、冷たくて美味いことは特筆できます。
ここに来る時自分は枕、毛布、敷き布団替わりのキャンプ用銀シートと発泡スポンジシートを持参するのですが、長期滞在の常連になるとコンロや鍋釜類からちゃぶ台、なかには電子レンジまで持ち込むようで、食料品に至っては越冬でもするのかというくらいの量になるようです。
水は豊かでトイレは洋式水洗で快適だし洗い場や水場もじゃぶじゃぶです。
携帯電話はFOMAは快調に3本立ってますが、今回はMVNOのSIMは入感がわるくて、たぶんふけの湯にアンテナがあるので駐車場まで行けば交信できる感じでした。
今年の年始の挨拶を無事終えて、なんとかまた10月はじめに泊りに来たいなぁと、後ろ髪引かれながら撤収したのでした。