武蔵
東北(山形県)格安温泉宿泊・自炊・湯治おぼえがき番外編
上山 一般民宿
≪2025年04月宿泊≫(1泊)
3月上旬に中山平に1泊湯治したものの湯質が自分にフィットしてなかったのか、1週間ほどで心身がギシギシになり、やっぱ酸性硫黄泉だよなーと思ったのです。
とはいえ酸性硫黄泉の筆頭である蔵王温泉の宿はほとんどが中央資本にお買い上げされ、1泊2食で2万円あたりのリゾート宿ばかりになって湯治系格安鄙び宿は絶滅状態、もはや宿泊したい温泉地ではなくなってしまいました。
そういえば新型コロナGoTo割の初期、宿泊助成がなくなったらどんどん温泉宿が潰れるんだろうなと思ってたのを思い出します。
それでも蔵王のお湯には十分な魅力があって、蔵王に限らずですが時代の変化に合わせた湯治のありかたも再考せねばならない気になってきたのです。
蔵王の湯を満喫するだけなら共同浴場を使えば済む話で、でも麓の格安温泉宿もだいぶ前に絶滅してしまっていて、近隣で格安温泉宿はありません。
上山温泉に素泊まり¥5000くらいの温泉宿を見つけてはいるものの、そういえば変わった宿があったことを思い出してなかばネタでお試し宿泊することにしたのがこちらです。
うんと昔に昼食でお邪魔したことがあるこちら(民宿武蔵)、その後オモウマイ店で取材されて食堂としては南東北の飲食業を震撼せしめたほどで、でも民宿も激安でやってるのにその実態は謎に包まれています。
せっかくこっちに来るなら、激安だからスベってもネタになるならそれもいいし、何より知的好奇心が大いにくすぐられます。
宿泊予約電話を入れたのが3日ほど前、夕食付宿泊はあまり嬉しそうでないみたいな口ぶりだったけど、16~17時に到着、食事時間は夕食18時半前後、朝食7時過ぎで予約確定です。
宿泊料金は2食付きでなんと¥4180、素泊まりは驚愕の¥2750、朝食付きだと¥3300ととても儲けが出てるとは思えない、規格外な宿です。
宿の都合に合わせて食事するのは好きではないのですが、どんな食事が出るか真実探究欲求に負けたのと、このお値段ならヘタに自分で食料調達するより合理的なので、物は試しお試しすることにしたのでした。
宿から西にほんの120メートルほどのところに、なかなか評判のいい弁当屋さんがあるので、不幸にして臨時休店に遭遇しなければ素泊まりでも飢えを凌ぐことはできます。
当日の最重要ミッションはむろん蔵王温泉日帰り入浴、13時に蔵王体育館前駐車場(ウィークデーなら時間無制限で無料)に乗り入れます。
今日のターゲットは、ここから残雪のなか160メートル離れた上湯共同浴場です。
ちなみに上湯共同浴場近く、かつて泊った宿があった場所はむなしく空き地が拡がってます。
入浴料が¥300に値上がりしててショックを受けつつ、はじめ30分は貸し切りで16時前まで2時間半、存分に酸性硫黄を吸収しました。
心なしか昔より湯が薄くなった気がしないでもないものの、42℃ちょっとの入りやすい良いお湯でした。
ちなみに蔵王共同浴場は、パイプが詰まるから洗髪禁止です。
もう少し入っていたかったけど湯を出て山を下りて宿に着いたのは16時半で予定通り、いつもながら営業している雰囲気が感じられないものの、さっそく入って前精算でチェックインします。
案内頂いた部屋は2階の階段わき、道路に面した建物西側の角部屋で4畳半、シングルガラスの窓2面の部屋です。
木の開き扉に内側から鍵はかかるものの、外鍵の提供はありませんでした。
室内設備は5チャンネル22インチほどの無料TV、灰皿、ちゃぶ台、エアコンあり、室内に突っ張り棒の物干しがあって、押し入れの中にも座布団が多数あります。
アメニティはティシュのみで、歯ブラシと寝巻タオル等は予約時に持参を指示されます。
コンセントはTV後ろと隣室壁に各2口です。
客室はどうも2階に4室あるだけで、今日は他1室に若い兄ちゃんが泊ってるみたいでした。
2階には共用の家庭用ユニットバスがあり、脱衣場に洗面とコイン洗濯機があって、土木建築系業務に従事する人たちのベースキャンプ的なコンセプトの宿に思えます。
トイレは温熱洋式で温水洗浄なしでした。
風呂は貸し切り共用でそれを見越して早めに着宿したわけで、せっかく蔵王で温泉に入ってきて沸かし湯で洗い流すのはもってのほかとしても、洗髪はしたいので他客さんの入浴で混む前に作戦通りさっさとすませます。
ちなみに当然というべきか、宿泊客スペースに自炊とか加熱調理設備は見当たりませんでした。
夕食まで時間があったからちょっと近隣の偵察に出かけ、近くの関食品というスーパーで少し仕入れをしました。
夕食は部屋食で時間になったら持ってきてもらえ、食べ終わった食器は1階食堂のテーブル上に返却するルールです。
トンカツは膨潤肉ではない業務用冷凍で肉厚5mm12cmサイズの揚げたて、ご飯はややべとっとイマイチ品質のおにぎり2個分、マカポテサラダはまぁまぁ旨いやつです。
醤油ソース、ポーション入りのカラシも付いてます。
豚みそ漬け焼きはしゃぶしゃぶ用ロース肉の12cmサイズで、結構しっかりしたおかず味、パイナップルとわかめあえ物は薄い出汁醤油に甘みを足しててそれなり旨く仕上がってました。
これが全部で¥880なら自分には十分で、持ち込んだ水分もしっかり摂取しました。
近くのスーパーで仕入れた焼き芋のポテサラなるものも結構うまかったです。
寝具は薄っぺらい敷布団×2と薄い掛布団×2で、硬くて寝心地快適とまではいわないものの、湯疲れ気味だったからまぁまぁ眠れました。
もっとも、部屋入り口の小窓から廊下の灯火が漏れてくるのがまぶしくてイマイチでしたが。
翌朝は6時前に外出することは女将さんに言ってあって、5時半起床しただちに身支度して、上山温泉下大湯共同浴場に向かいます。
自分は晩酌するからそのあと夜間は入浴しないものの朝風呂には入りたくて、でも宿で沸かし湯に入ってもつまらないから共同湯を攻めることにしたわけです。
片道1.7kmほどの朝の散歩をして、6:15に着いたら常連さん第一波の10人ほどが上がる所で、その後の入浴客に混じって入浴料150円でじっくり朝風呂しました。
下大湯は浴槽が仕切られて熱湯46℃・温湯44℃で、むろん温湯側に小一時間入りました。
人が途切れず館内の写真は撮れなかったのですが、昔ながらのいい銭湯ムードでした。
帰宿したのは7時半で1階食堂で食事、ヘルシーな朝食ですがまぁワンコインなので何の不満もありません。
昼夜の食堂営業は相変わらず激安で、あまりに安くてわが目を疑ってしまいます。
チェックアウトは9時なので、10分ほど前に撤収しました。
こちらの宿はほぼ、汗を流して食事して寝るだけという必要最小限な感じで、他部屋のタバコの臭いが時々漂ってきたり、WiFiがなかったり、洗面や入浴で他客さんに気を使ったりしないといけないのですが、必要最小限と割り切ればこれはこれで結構悪くない気もしてきます。
共同浴場をうまく使えば温泉には存分に入れるし、普通の低価格温泉宿に中途半端に泊るよりかえってストイックに温泉を極めるのも一興という感じで、蔵王共同浴場と上山温泉共同浴場攻略のベースキャンプとして十分にアリだと思ったのでした。
春秋の少し肌寒い温泉向きのシーズンなら、ふらりとリピートしたくなりそうです。